天地でMMR!
・この記事は「天地無用! アドベントカレンダー2021」用の記事です
・作品はフィクション二次創作です。実際の団体・作品・考察には関係がありません
・度を越した悪ふざけや致命的なキャラ崩壊が含まれる恐れがあります。読まれる際にはご自身の健康状態と精神衛生に十分な注意を願います
・画像にはAAの模写が含まれています
・書いている本人もわけがわかっていません
なんということはない、至って普通のある日……
魎呼
「天地~! てんちぃ~!
……どこに行ったんだ天地の奴。せっかく阿重霞が美星に連れられて公務へ向かって、鬼の居ぬ間に鬼が来た、なんていちゃつこうと思ったのによ」
砂沙美
「(砂沙美若返っちゃったんだけど)」
ガラッ
鷲羽
「話は聞かせてもらった。タコに問題あり!」
砂沙美
「そのネタ古いよ鷲羽お姉ちゃん(砂沙美わかんなぁい)」
鷲羽
「本音と建前が揃った回答をありがとう、砂沙美ちゃん」
魎呼
「それより鷲羽、天地がどこ行ったか知ってるか?」
鷲羽
「天地殿は今は言えない所にいるわ」
魎呼
「もったいぶらずにさっさと教えろよ!」
鷲羽
「しょうのない子ねぇ……
いいわ、教えてあげる。でもその前に、この話を聞いてもらうわよ」
魎呼
「なんでもいいからさっさと聞かせて終わらせようぜ」
鷲羽
「今のあんたにも関係あるお話よ。題して……」
鷲羽
「魎呼ちゃんゴーレム説!」
魎呼・砂沙美
「……」
鷲羽
「あらぁ? 反応薄いわね」
魎呼
「おまえの卵子と万素使って作ったんだろ? 妄想はやめろっての」
砂沙美
「砂沙美前にそんな話を聞いたことがあるよ。
そのときはホムンクルスだったかなぁ」
鷲羽
「あの怪文書は書いた奴が悪いのよ。
あいつが見落とした所も含めて、みっちり説明したげるわ」
ゴーレム基礎知識
砂沙美
「はいはーい、鷲羽お姉ちゃん!
ゴーレムって土人形の事だよね! すっごく強いの!
信幸おじさまに借りた漫画で見たことあったよ!」
鷲羽
「砂沙美ちゃんえらいっ! 良く読んでいたわね。
あのシーンは読み返すとヤバさが引き立つわよね……」
魎呼
「それでそのゴーレムとあたしと何の関係があるってんだ?」
鷲羽
「まあまあ、慌てない慌てない。
ゴーレムはもともと、ユダヤ民族の伝承に登場していたの。ユダヤ民族が由来だから、当然ユダヤ教の影響を受けているわ。一節には、ユダヤ教・キリスト教・イスラームに登場する天地創造のアダムとイヴも、唯一神によるゴーレムと解釈できると言われているわね」
魎呼
「天地を創造……想像……アダムとイヴ……ぐふふふふ」
砂沙美
「魎呼お姉ちゃん、お顔がこわい……」
鷲羽
「この話が終わる頃には、そんな顔はしなくなるわ。
で、ユダヤ教の聖典である旧約聖書の創世記の記述に基づいて、土人形を作り、そこに『命の息吹』に相当するものを充当することで、動くようになるわけね」
砂沙美
「額にEMETHと刻むんだっけ? それで壊すときには、Eを削るの」
鷲羽
「それが最も一般的ね。Eを削るとMETHとなって、それは『死』を意味するわけ。だからゴーレムはそれで死に至るのよ。
でも、それだけじゃないわ。聖書の節を体に刻んだり、それを刻んだ護符を口の中に入れたり、ともかく何らかのアブラハムの宗教的な力で動いたりするわけね」
ゴーレムを動かす力
魎呼
「話を聞いてもまったくピンとこねぇな。
そりゃ万素は粘土っぽかったし、あたしだって神我人のヤローに人形呼ばわりされたりしたけどさ、そんなもので動いたりはしてないぞ」
鷲羽
「そうよね、魎呼ちゃんのエネルギーは宝玉から来ている。
でも宝玉のエネルギーってなんだったかしら?」
砂沙美
「女神パワー的ななにかなんだよね!
そして遙照お兄様の船穂も、それで地球にいる間もエネルギーが枯れなかったんでしょ?」
鷲羽
「そのとおり! これで『魎呼=宝玉=鷲羽<三命の頂神>津名魅=樹雷=光鷹翼』までつながるわけね」
魎呼
「あたしは認めねーぞ! でもまてよ、光鷹翼や樹雷の樹っていうと……」
鷲羽
「そう、例の怪文書ね。
あれに出てくるセフィロトの樹は、ヘブライの神の力がこの世に流出している過程とも言われているわ」
魎呼
「その与太話を認めるなら、あたしが動く力はゴーレムが動く力と似通ってくるわけか……津名魅を経由して」
砂沙美
「(俺を踏み台にしたぁ!?)」
鷲羽
「そうとも言えるかもしれないわね。
そうそう、そもそもゴーレムっていう言葉は『胎児』という意味なのよ。これが『錬金術の胎児』なら『ホムンクルス』になるわね。でも……」
魎呼
「ずっと一人で生まれて……生まれた……?」
砂沙美
「天地お兄ちゃんとの出会いで、生まれ変わったの!?」
鷲羽
「そう! 天地殿と出会って生まれ直したと言えるわね。
かつての破壊(破壊魔魎呼)からの再生は『破壊と再生』という創世神話に付き物のモチーフ! 仮面をつけている姿はさながら復活を願ったエジプトのミイラ!(※梶島先生談) しかも封印された祠はまるで産道のようだったわね! ハッピーバースデー、魎呼!」
魎呼
「あんの時干からびてさえいなければ……!」
砂沙美
「(今晩は鯵の干物にしようっと)」
ゴーレムの「真理」
魎呼
「あたしがゴーレムと似ているってのはわかったけどさ、それって単なるこじつけただけの話だろう?」
鷲羽
「そうね、そのとおりよ。
いくら似ていると言っても、それが真実とは限らないわね」
砂沙美
「真実……真実……あっ!
ゴーレムの額に描かれているEMETHって、真実や真理って意味だよね!」
鷲羽
「よく気がついたわね、そのとおりよ」
魎呼
「あたしにゃそんなマークは無いぞ!」
鷲羽
「あっ クレの文字が!」
砂沙美
「(久しぶりに見たなー)」
鷲羽
「アイタタタ……赤ん坊から反抗期かしら……コホン。
さっき砂沙美ちゃんが言ってくれたように、よく刻まれているEMETHという言葉は、『真実』や『真理』という意味ね。
でも、おかしいと思わない?」
魎呼
「(この話全部がおかしい気がするけど……)」
砂沙美
「はいはーい! なんでアルファベットなんだよ! ってことかな?」
鷲羽
「そうね。ユダヤ民族にはヘブライ文字というものがあるわ。
本来のゴーレムが刻んでいる文字は、「אמת」というものなの」
砂沙美
「三文字しかないの?」
鷲羽
「ヘブライ文字は殆ど母音を書かないのよ。だからこの三文字は、右から読んで『アレフ・メム・タウ』になるわ。タウ……」
砂沙美
「鷲羽お姉ちゃん……」
鷲羽
「ありがと砂沙美ちゃん……赤ん坊の話をしていたから……
さ、気を取り直して。さっきの三文字をあえてアルファベットに当てはめたら、『A・M・TH』(マグレガー・メイザーズによる)になるわね」
魎呼
「さっき砂沙美が言ってたのは『E』だったよな」
鷲羽
「そこが難しい所なのよねー。もちろん単語が先にあるから、読み方はちゃんとあるのだけども、アルファベットに置き換えると、ない文字があるの」
砂沙美
「信幸おじさまが貸してくれたゲームにもそんな話があったなー」
鷲羽
「そこで、今の英語のアルファベットには無いけど、昔の古英語やラテン語にある文字が登場するわ。これよ」
砂沙美
「あっ! これお買い物で見たことある!」
鷲羽
「そうね、あれとか、あと発音記号でも、未だに使われている文字ではあるわね」
砂沙美
「(今なにかお父様の怨念が……!?)」
鷲羽
「そういうわけで、ゴーレムを動かしているEMETHの表記は、実は色々とパターンがあるのよね。
ヘブライ文字の場合は、ちゃんと右の文字を消さないとダメよ」
魎呼
「あたしだったら文字どころか全部吹っ飛ばすけどな」
鷲羽
「あんた吹っ飛ばされてたじゃない、神我人に」
砂沙美
「aemaethって書いているのは、信幸おじさまが見せてくれたアニメ映画でも出てきてたよ!」
鷲羽
「そうね。そしてこんなのもあるわ」
砂沙美
「わ、なにかキレイ!」
鷲羽
「ジョン・ディーという魔術師が用いていた『エメトの大印章』と呼ばれるものね。この右上に見えるのも、EMETHと同じ真実や真理という意味よ。
ちなみにジョン・ディーは降霊術として天使や幽霊を呼んだりしていたそうね。天地殿や幽霊を呼ぶ魎呼と同業よ」
魎呼
「( ´ー`)シラネーヨ」
真理である意味
魎呼
「散々いろいろ言われたけど、結局何が言いたいんだ?」
砂沙美
「ちょっとまって魎呼お姉ちゃん! AE……あえ……
阿重霞お姉様!?」
鷲羽
「流石砂沙美ちゃんね、お利口さんだわ。
そのことに意味を見出すのであれば……!?」
砂沙美
「阿重霞……あえか……
阿重霞お姉様のお名前は『AE化』とも読める!?」
魎呼
「だったらなんだってんだよ! 鷲羽林!!」
鷲羽
「阿重霞殿は死であった魎呼を蘇らせたのよ、AEを付けることで!」
鷲羽
「さらに言えば、魎呼と阿重霞殿の二人の百合は真実である……!」
魎呼
「(阿重霞……あいつ、いい奴だったんだな……)」
砂沙美
「(なんだろう、百合って聞いてドキドキする……)」
鷲羽
「ふふ……これでも天地殿の居場所を探すかい、魎呼?」
魎呼
「いや、あたしは阿重霞を探すぜ。まだ帰ってこないのか?」
砂沙美
「あっ! お姉様帰ってきたよ!」
魎呼
「あぁ! 阿重霞あぁ~ん♪」
阿重霞
「キャッ! なんですの魎呼さん!!」
その夜 瀬戸大橋はまたしても倒壊した
その後……
天地
「あのぉー 鷲羽ちゃん……」
鷲羽
「なにかしら? 天地殿」
天地
「魎呼から逃してくれたことにはお礼をいいますけど、いい加減解放してくれません?」
鷲羽
「ダァ~メ」
天地
「(´ω`)‥トホー
でも、二人をぶつける口実によくあんなの思いつきましたね」
鷲羽
「ふふーん。これはあの怪文書書きには思いつかないこじつけよね」
天地
「『百合は嫌いではないが特別好きでもない』、って言ってましたものね。
断末魔の言葉になっちゃいましたけど。
……ん? ってことは、鷲羽さ……ちゃんは……!?」
参考文献
・「天地無用! 魎皇鬼 解体真書 101の謎」黒田洋介・梶島正樹・AIC キネマ旬報社
・「真・天地無用! 魎皇鬼 三の巻 《鷲羽》」黒田洋介・梶島正樹 富士見ファンタジア文庫
・「図説 近代魔術」吉村正和 河出書房新社
・各Wikipediaページ
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