企業やブランド「ロゴ」についての考察
今回は、日々何気なく目にしているブランドや企業の「ロゴ」について考察しています。
視覚的だけでなく、デザインの裏に隠された意味も併せて知ることで、たくさんの思い、ブランドストーリー、歴史が詰め込まれていることがわかります。
Amazon
アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏は、デザイナーのターナー・ダックワース氏を起用して、ロゴデザインの制作に取りかかりました。何度も改良を重ね、今では誰もが知るアマゾンのこのロゴマークを 2000 年に完成させました。このロゴは、ブランド名を表す文字を使用した「ワードマーク」とオレンジ色の矢印でデザインされた「スマイル」という、シンプルでありながら特徴的なデザイン要素を備えています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
このスマイルには 2 つの意味が込められています。見ての通りこの矢印は英語のアルファベット A からZを示しており、A 地点から Z 地点までどこへでも配達が可能ということをアピールしています。もうひとつは、お客さまがアマゾンの荷物を玄関先で受け取った時の笑顔を連想させているのです。
Nike
ブランドオーナーであるフィル・ナイト氏は、ロゴの作成に向けて「躍動感とスピード感のあるシンプルなロゴデザイン」という目標を掲げていました。また、ロゴをデザインする上で重要なことは、競合他社との差別化を図ること。ナイキの場合は、当時最大の競合相手であったアディダスとの差別化が必要でした。
デザイナーであるキャロライン・デビッドソン氏は「スウッシュ」の歴史を作ったのです。スウッシュは、勝利を象徴するギリシャ神話の女神ニケの翼をモチーフにしています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
ナイキのブランディングチームがスウッシュを選んだとき、ナイト氏は「好きではないが、時間が経てばだんだん好きになるだろう」としぶしぶ決断したと言われています。
MacDonald
マクドナルドが誕生して以来、ロゴは何度か改訂され、最近では 2003 年にデザイン事務所 Heye & Partner によって新しくされました。現在のロゴは、シンプルな黄色で、「I'm lovin' it 」というスローガンが添えられています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
マクドナルドの第 1 号店は、1937 年にカリフォルニア州サンバナディーノでリチャード・マクドナルド氏とモーリス・マクドナルド氏がオープンしました。
初のフランチャイズ店のオープンに伴い、新しい建物にはサインメーカーのジョージ・デクスター氏による半円のデザインが施されました。このデザインは「M」の文字を象るため再構成され、1961 年にマクドナルド社を買収したレイ・クロック氏が、この M 型アーチのロゴを新しい企業ロゴに採用しました。
Gucci
グッチオ・グッチ氏は、1921 年に高級感を意識したファッションブランドを立ち上げましたが、ロゴのデザインを決定したのは 1933 年でした。グッチのロゴは、「G」を 2 つ組み合わせたレタリングを特徴とし、その後他のデザインもブランドのレパートリーとして迎え入れています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
レターマークのロゴは、グッチの息子アルド氏が父のイニシャルを表すために作ったものです。さらに贅沢さを強調するこのロゴは、ブレスレットのリンクを象徴しているとも言われています。
Coca Cola
飲料メーカーコカ・コーラは、1886 年の創業当初からオリジナルデザインを維持しています。ロゴマークは気品にあふれ、当時の古典的な手書き書体である「サペンサリアン体」を使用しています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
この有名なロゴは、創業者の経理担当者であるフランク・メイソン・ロビンソン氏がデザインしたもので、「2 つの C が広告で映えるに違いない」という策案がロゴデザインに反映されています。
Google
世界で最も有名な企業の 1 つである Google のロゴは非常にシンプルです。デザイナーのルース・ケダー氏は、当初「Baskerville Bold」という フォントを使ってこのワードマークを作成しましたが、その後、自社で作成したサンセリフ書体を使用してよりフラットなデザインにリフォームしました。
また、イノベーションと IT が息づく Google は、特別な祝日や記念日などにあわせて検索エンジンの Google ロゴを変更します。この定期的に変わるオリジナルロゴは、Google Doodle(グーグル・ドゥードゥル)の愛称で知られています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
ロゴのカラーパレットには主要色がある中、 「 L 」だけにグリーンを使っています。創業者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が「自分たちの会社はルールに縛られるのではなく、ルールを破ることを好む」というメッセージを表現したいと考えて選んだものです。
Instagram(インスタグラム)
当時は、写真家をメインターゲット層とし、ブラウンがかったカメラがトレードマークのロゴでした。しかし、インスタグラムの利用者が急増し、ユーザーはもはやフォトグラファーだけでなく、ミレニアル世代やジェネレーションZと呼ばれる若者達にまで広がり、幅広い層となりました。これに伴い、2016 年にロゴのイメージチェンジを行っています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
オリジナルのロゴは、インスタグラムの CEO であるケビン・シストロム氏が自らデザインしたものです。
Lego
1932 年の創業以来、何度もロゴが変更され、今日私たちが見慣れているレゴ社のロゴは 1973 年に導入されました。この頃、レゴ社は本国デンマークからアメリカに製品を輸出するようになり、リブランディングのために赤や黄色の鮮やかな色使いと、すっきりとしたタイポグラフィといった現代的なロゴの特徴をデザインに取り入れました。このようなデザインスタイルの変更により、幅広い年齢層の人たちに受け入れられるようになったのです。
ロゴデザインにまつわる秘話:
レゴの名前は、デンマーク語で「よく遊ぶ」を意味する「leg godt」の略語に由来しています。
Facebook
比較的新しい企業であるフェイスブックのロゴマークは、2005 年にマイク・バザード氏が初めてデザインして以来、大きな変更は加えられていません。
ロゴのシンプルさは、小文字のフォントで表現されています。これは、「くつろいで、友人や家族とつながり、楽しむ」というブランドの意図が表れています。青と白のクラシカルな色調での統一は、美学的にもとても素晴らしく、一方、色彩心理学では、青は楽観的なイメージがあり、ハイテク企業によく見られる色となっています。
ロゴデザインにまつわる秘話:
アメリカを代表する雑誌ザ・ニューヨーカー誌は、フェイスブックのロゴの青と白の配色は、色覚異常の症状を持つマーク・ザッカーバーグ氏にも容易に認識できる青色を採用したのだと主張しています。
Starbucks
1971 年に誕生したスターバックスのオリジナルロゴは、2 つの尾を持つ人魚「サイレン」を手書きで描いたものでした。16 世紀の北欧の版画をもとに、ポートランドにあるコーヒーチェーンの旗艦店の海の雰囲気を表現するために選ばれました。
1987 年、このロゴを一新するためにテリー・ヘックラー氏を起用。彼女は、古代の水の生き物を女神に変え、茶色からケリーグリーンへと色を変更し、ロゴにシャープな印象を与えました。2011 年、スターバックスは自分たちのブランドがあまりにも広く認知されていることを再認識し、リブランディングの一環として、既存のロゴからロゴを囲う円、ブランド名、星を削り、顧客を惹きつける人魚「サイレン」を残すことにしました。
ロゴデザインにまつわる秘話:
2011 年のロゴリニューアルでは、「サイレン」の鼻を少し変えて、顔をアシンメトリーにしています。これは、デザインを担当した Lippincott 社が、サイレンの顔をより "人間らしい "ものにするために行ったものです。
Apple
デザイナーのロブ・ジャノフ氏が当初このデザインで大切にしていたのは、シンプルさでした。それはスティーブ・ジョブズ氏が会社を設立したときのモットーでもあります。1981 年の記者会見で、ジョブズ氏がアップルという社名を選んだ理由を聞かれて、「創造の果実、アップル。シンプルさは究極の洗練だ」と答えいます。
最初のロゴがあまりにも時代に乗り遅れていため、ジョブズは 1 年後にジャノフ氏を招き、ブランドデザインの一新を託しました。ジャノフ氏は、何週間もボウルに入ったリンゴを前にして、イメージを最もシンプルな形に落とし込もうと試みます。その結果、カラフルなかじりかけのリンゴのデザインを発表し、大成功を収めました。
ロゴデザインにまつわる秘話:
現在のアップルロゴは、ジャノフ氏がアップル社のために提案した唯一のデザインでした。当時のアップル社は小さなスタートアップだったので、複数のロゴデザイン案を発注する時間もお金もなかったためです。
参考:有名ロゴの誕生秘話 20 選
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