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「子ども」は大人にとってのチャンス!「『新しい』世代間のギャップ」と「デザインのとびら」

こんにちは!子どもたちの未来のための、デザイン思考を活用したワークショップ「デザインのとびら」事務局です。

前回は、「子どもと大人って分けて考える必要果たしてあるの?」をテーマに書きました。今回はそのテーマに続く形で、「世代間のギャップ」に焦点を当てて話したいと思います。


世代間のギャップはどうなっていくか?

この話は、「最近の若者は」っていう話の「先にある『最近の若者は』」の話です。「最近の若者はけしからん」の話は、もう人類の永遠のテーマかってくらい、いつの時代にも、それこそ古代エジプトでも言われていたっていう程のネバーエンディングストーリーで、もはや多くの人が聞き飽きてしまていると思うので、今回は「その先にある最近の若者は」論について考えてみたいと思います。

「最近の若者は」論とは、「世代間のギャップ」についての議論だと思います。今の時代だからこそ、世代間のギャップは今後どうなるのか?って、実はすごく興味深い話だと思っています。

というのも、若者ってこれまでは社会経験が無いことで大人たちに比べて「力のない存在」だったんですが、今の若者はテクノロジーを駆使することで十分に「力を持てる」存在となったからです。

ネットにつながる環境さえあれば、どんな辺鄙な土地に住んでいうようが、海外の大学の講義だって見ることができますね。むしろ学習意欲さえあれば大人なんて優に凌ぐほどの知識を身に付けることができるようになりました。

ネットの力は、インプット側だけでなく、アウトプット側にも大きな効果を持っています。

noteのようなブログやSNSみたいなプラットフォームを利用すれば、自分のメッセージを世界中にリアルタイムで発信できます。自分と志を同じくする仲間を集めることだってできますし、新しいアイデアに賛同する大人さえをも巻き込んでいくことができます。それをグローバル規模で実現出来る。ネット社会になったことで、事実として、インフラさえあれば、今や誰もがこのような力を既に手に入れているんです。

残念ながらこれまでの大人たちの多くは、この「事実」に疎い。もしくはこの事実をまだ「事実」として受け入れられていない
だからいつの間にか、気がついたら子どもたちに見放されているなんてこと、無い話じゃないですね。

つまり、「世代間の力のギャップ」はフラットになっていくのに、そのことに大人が気づいていないというギャップ。フラットどころじゃなくって、大人を大きく上回る力をもっていくことも大いにあり。

でも一方で、子どもたちだってみんながみんなそうなりきれる訳じゃなくって、いつからか大人への不信感を忘れ、気がついたら自分が「これまでの大人側」に回っているというホラーのようなこともありそう。


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子どもという機会を使って、大人も一緒に変わったらいい

一部の大人は、こうした点に危機感を持ってはいるのですが、その中の多くの人はすぐに行動へ移せないものです。「変化しないこと」に慣れきっているという点において、これまでの「大人ってこーだから」論でよく耳にする話ですね。

「変われ!」って言われて変われるものならもうみんな変わっている。でもそれじゃ一生変われないので、難しいのを認めながらも、勇気を出して変わろうと努力をしたらいいと思います。

そんなときに、子どもがいるっていうことは、実は大人が変わることができるチャンスだと考えています。なぜなら子どもに対して、そういう「これからの大人」を見せてあげればいいからです。

「大人ってこーだから」っていうマイナスの大人イメージじゃなくって、「大人ってこーなんだ!」っていうワクワクするこれからの大人へ。

もちろん別に手本として「理想」を演じる必要はなくって、一緒に学ぶ姿勢を示したらいいだけなんです。そしてその行為が、自分自身の学びにもなり、その経験が自信に繋がっていくんだと思います。

そう考えれば子どもは大人が日常の中で無意識に排除していた「『学びの機会』に再び気づくための、最高のきっかけ」とも言えます。

先ほどの「世代間のギャップ」の話はまさに、大人が新しい視点を持てるようになるための機会とも言えます。

子どもたち一人ひとりの個性をリスペクトし、彼らとのディスカッションを恐れず、新しいアイデアのいいところを柔軟に吸収していけば、それまで築いた経験やスキルを生かして大人はもっとイケてる大人になれるはずです。

それこそ子どもたちが羨むくらいイケている大人になる。

そういう関係が子どもと大人の間にできたら、どんな世界になるかなって考えると楽しくなります。「大人は子どもで、子どもは大人」って感じに、これまでの教える、教えられるの関係はグルグルと入れ替わりながら相互に学び合う
その世界では、もしかしたら「子どもと大人」っていう明確な差なんてなくなっているかもしれないですね。

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リバースメンタリングというヒエラルキーのフラット化

実は企業の中ではそういう関係が既に始まっています。
「リバースメンタリング」とかっていうんですが、これまでの研修は、ベテランの下に若手がついてOJTのように学んでいく、というのがよくある形だったと思いますが、その中で若手の方がベテランに助言する、もしくは交流を通してベテランが学びを得られる、という関係性のことを指します。

私は昨年新人のメンターをやっていたんですが、まさにこのリバースメンタリングの効果をものすごく感じました。

私の場合はどちらかというと、目の前にある案件をいかに効率的にかつ高い品質で仕上げ、その中で自分でも満足できるチャレンジをいかに盛り込めるかっていう程度にしか自分の仕事について考えていませんでした。
でも新人からは、そもそも本当にその問題について自分ごと化して、解決に向かって取り組む、という、人として当たり前だけれど忘れてしまっていた姿勢を学ぶことができました。

実をいうと、むしろ自分はそういう根本的な問題にしっかり向き合えているって感覚すら持っていたんですが、実際は全然そうじゃなかったことに正直ショックすら受けました。

言ってみれば、私は仕事を企業という狭い範囲の中に転がり込んだ一つの案件への対応としか考えていなかったのに対し、新人はその先にある根本的な問題解決っていうところを本当に自分ごと化して、しっかりと向き合えていた、という感じです。

例えば、ちょうど環境の仕事だったんですが、私たちベテラン勢は、夏冷房の効いた部屋で、ジャケットを着込んでペットボトルを並べて会議をしてしまっていました。新人は、そんな光景に物怖じすることなく、はっきり突っ込みを入れてくれたのです。私だけでなく、その場にいた全員が自分達の取り組みについて考えさせられた瞬間だったと思います。私たちは「その案件を仕上げることが仕事」になっていて、本当に1人の人間として環境課題に向き合っていなかったんですね。

前に「クリエイティブ・リーダーシップ」の話を書きました。あそこで話していた「共感」の話は、「自分自身の言葉や行動に共感できるか」ということでした。どこかで私は自分自身への「共感」を忘れた言動に終始してしまっていたし、結果として自分はクリエイティブ・リーダーシップの言うところの「オーセンティック」になれていなかったな、と感じています。

リバースメンタリングの面白いのは、このように新人とベテランが互いに相手をリスペクトし、対等に学びを得ていくことです。

そうなれば企業内のヒエラルキー構造ってもはや大した意味はなくなるんじゃ無いかなと思っています。役職は本当の意味で、ただ単に「役割の違い」でしかなくなっていきますね。

私たちベテランは既得権益にしがみついていないで、未来の社会と、自分たち自身の学びのためにも、雇用や報酬、評価なんかも含めていったん壊して再構築しなきゃいけないと思います。


子どもと大人は、お互いに学び合うマインドを持つことで最強のタッグとなりうる

リバースメンタリングの例のように、子どもと大人って、実はお互いの弱みと強みを補い合える、結構ナイスな関係です。

子どもが持っていない「経験」とそれに紐づく「スキル」を大人は持っているし、大人が持っていない「好奇心」や「頭のやわらかさ」、「情報感度」を子どもは持っています。

大人はどうしても「これまでのやり方」に知らず知らずのうちに縛られて思考を停止していきがちなんだけれど、子どもの純粋さに触れることで、その硬直を緩和させたり、失っていた感性を取り戻すことができます。一方で子どもは大人から社会について学ぶことができます。

子どもと大人がお互いに不足を補い合える関係にあるというのは、人という生き物の進化のシステムとして精緻に設計された学びの構造のようにすら感じます。

そうであるならば、世代間のギャップでいがみ合うんじゃなく、一緒に何か同じ目標へ向かうような機会があったら面白いんじゃないか?と考えています。


大人にこそ変わってもらいたい
「デザインのとびら」のできること

子どもって、いい環境があれば勝手にすくすく育っていくことができます。問題は、育ってしまった大人。大人が新しい取り組みに踏み出したり、考え方に柔軟性を持つことって結構難しいということです。

でもその大人こそが、子供たちにとって一番大きな影響力となります。大人が古いままでは、その環境下で育つ子どもも、当然これまでのマインドセットのまま。

そういう部分で、私たちのワークショップは、「子どもたちに向けた」と言ってはいますが、「子どもと一緒に参加する大人のための」って部分もすごく大事にしています。

ある意味で子どもは大人が変わるための「きっかけ」そのものとなります。そうして大人が変わることで、その大人を見て育つ子どもも輝きます

そんなギャップをお互いに埋め合うWin-Winなプログラムをこれからも目指していきます!

\ ワークショップの様子を発信しています /
https://www.instagram.com/design_tobira/
Text by 儘田大地  Edit by 東郷りん
デザインのとびら

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