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短歌「廓の跡」備忘録
"廓の跡 しし累々と染む憎もなげきも結び我が身を生きよ"
遊郭跡を訪ねたときの思いを歌った。
「しし」:古語で「肉」。廓に眠る多くの女たちの「死屍累々」と、彼女らが確かに肉体をもって生きていたということを掛けた。
「憎」(にく):彼女らの「憎い」気持ちと肉体存在とを掛けている。
「なげき」:古語の「嘆く」には、悲しむことのほかに、願う・強く望む、という意味がある(学研全訳古語辞典より)。両方の意味を込めている。
(意訳)
遊郭跡には、彼女らの生と死、喜びや悲しみや祈りや念が今も残っている。
そこに染みつくように存在しているあなた方の生の痕跡や思いや願いが結実して、私という命を生きてください。
私が今運よく手にしている地位や自由は、彼女らが生きてくれたことの上に、まだまだ危ういバランスで、しかし確かに成り立っている。
彼女らの生と私の生は切っても切れないところで繋がっている。