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サッカパウ 吉沢悠椰シェフと野菜/【第1回】キャベツ

これからコースで扱う野菜の一部を
紹介していきたいと思います。



そもそもなぜ野菜が主役なのか。

私は旬の食材をバランスよく取り入れた健康的で豊かな食事時間を提供したいと思っています。
その為、野菜を使った料理がベースになるのは自然な流れでした。

ほとんどの野菜のおいしさには鮮度が大きく関わると思っていて、地方での農家さんの畑で食べる野菜には感動すら覚えます。

都心で野菜を主役にするには矛盾があるのでは?
もちろん素材の質には相当こだわりますが、
「この野菜ってこんなおいしさもあるんだ」という新しい価値観を共有したいなと思っています。



野菜の扱いかた

野菜の新しいおいしさを引きだすために、
日本各地の伝統食材、未利用食材、野生食材、スパイスなどをミクスチャーし、私なりの調理方法を加えてイタリア料理をベースに組み立てます。

また、「食べ物の持つ時間」を必ず加えます。
昔は山菜を乾物・塩蔵、野菜を漬物や乾物に加工し、それを別の時期に旬のものと合わせて食べることによって1年という時間を体で感じることができました。このサイクルを料理で体現し、お客様と共有してきた経験があるからこそ、旬を保存して別の時期に組み合わせた新しいおいしさを創ることを意識しています。

今回紹介する野菜

キャベツです。
イタリアでは最も裕福な街であるミラノが位置するロンバルディア州が代表的な産地になります。

今のコースでは能登半島の七尾湾に浮かぶ能登島の農家、高農園様のサヴォイキャベツを使わせていただいています。
旬が冬〜春で、寒い時期は味が濃く、食感もしっかりした印象です。


選んだ理由

豊かさをテーマにした料理を作ろうと思っていたからです。

2024年能登半島地震により現地の生活は元に戻れないほど大きく変化したと聞きます。
いつも通りの明日が来ることがいかに豊かなことなのか考えさせられました。
そこで、庶民的な食材で豊かな味わいの料理を狙いました。


使い方

甘み、苦味、食感が魅力的になるアプローチで仕上げました。

まず、キャベツの硬い外側と柔らかい内側に分けてそれぞれの良さを引き出します。

内側は紐で縛り、4日干してから菜種油で揚げ
外側はカリカリで香ばしく、内側は蒸されて柔らかく、ジューシーな甘さを引き出しました。

外側はジューサーで絞り、キャベツジュースを抽出します。甘くてほろ苦いジュースで未利用魚と呼ばれる小魚、エビや貝などを国産サフランやスパイスと煮込み、チュッピンと呼ばれる旨みの濃縮した魚介スープを無水で作ります。

素揚げキャベツにこの濃厚なスープをソースにし、ピクルスやフレッシュハーブと合わせ、キャベツを余すことなく濃厚な一皿に仕上げました。


まとめ

キャベツを丸揚げし、ザクザク切って頬張る新しいおいしさを体験して欲しいです!


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