おばちゃんデザイナー、NYへ行く③
先生が「NYへ行きなさい」と言った一言や
周囲の「今すぐ行くべき」という一言など、
誰かが言った言葉が、妙に心に刺さって離れないこと、あると思います。
身近な人じゃなくても、
たまたま見た広告のコピーかもしれないし、映画の1セリフかもしれないし、本屋で見かけた本の帯の言葉かもしれません。
私は昔から「直感」を信じていました。
必要な時、目に見えない大きな力が働いて、私に何かメッセージを送ってくれる。
やるべきと思ったら、勝手に体が動いてしまう。
しかし私は、23歳で結婚してからというもの
「妻・娘・母はこうあるべき」という社会的に作られた理想像に自分を押し込めて、この「野生の勘」のようなものをどこかに置き忘れてしまっていたようです。
それは子供たちを守り育てるために必要なことだったのかもしれません。
私が自由にやりたいことをすれば、子供が非難されるかもしれない。いじめられるかも。
舅や姑、夫の兄妹や親戚から、夫が冷たい視線を浴びせられるかも。
私はいい母・妻であり続けました。
無難なママファッション、家事に手を抜かず、ママ友たちとの社交も。
続ける中で、だんだんと本来の自分と、自分のやりたかったことが見えなくなっていきました。
これまでのそんな自分は本当によくやったと思います。
とにかく必死だったのです。
夢を見ることに一旦蓋をしましたが、小さな炎だけはどこかで守り続けていたのでしょうか。
今、忘れ物を撮りに行くような気持ちです。
学生時代のあの日のように、ワクワクしています。
これまでの自分も、間違いなく自分です。
否定するつもりもないですし、誰かを責めるつもりもありません。
誰かが「いい母になりなさい」と私を縛り付けていたわけでもない。
全ては自分で選択してきた結果です。
私はたくさんの人と知り合い、学びを深めていく中で、今ここに辿り着いたのだと思います。周囲の皆さんにどれほど助けられているでしょうか。
出会いと学びは、人生の宝ですね。
出発が近づいてきました。
レンタルしたスーツケースは、私がもっている30年前のものとは全然違ってとても軽くてペコペコしています。
車輪の滑りもめちゃくちゃスムーズ。
持参するガジェット周りをチェックしながら、ずいぶんと時間が経ったものだと思いました。
私はデザイナーです。
デザイナーは、多面的、多角的に物を見ることが必要だと思っています。
この旅は私にきっと新しい視点を与えてくれると思います。
とても楽しみです。
次回からは、できる限り旅のレポートをしていきたいと思います。