おばちゃんデザイナー、NYへ行く⑩最終回
日本に帰ってきて、一番大変だったことは時差ボケと体調不良です。
ほんとーにきつかった。全体の症状はこんな感じ。
・一日中眠い(でも夜は眠れない)
・胃がムカついて食べられない
・体が異常にだるくてきつい
・微熱が出る
・謎の肌荒れ
これをお友達は「デトックス」と表現しました。
確かに、自分の中の何かが入れ替わっていくような感覚がありました。
さて2週間ほどそんなしんどい時間を過ごし、ようやく日常生活と体調を取り戻しました。
今の私はなんというか、すごくリラックスしています。
穏やか。いろいろ気にならない。とにかく楽。
旅に出て、自信がついたのでしょうか?
一番今の気持ちに合っているのは例えばこの曲「特にない/藤井風」
余計なことに心乱されず、ただありのままでいていいのだという幸福感の中にいます。とても不思議な感じです。
NYの人たちはとても自由でした。さすが自由の女神の国です。
思い思いの方向へ勝手にスタスタ進んでいきます。
周りのことなど、全然気にしていない。
私はそれが、めちゃくちゃ気楽だったのです。
女だからこうしなきゃ、とか
人が見てるからちゃんとしなきゃ、とか
恥ずかしいから体のラインを隠さなきゃ、とか
英語ちゃんと話さなきゃ、とか
そういうの全然関係ねえ!
私が日本でいかに、人の目を気にし、批判を気にし、恥をかくことを気にしていたのかということを客観的に理解しました。
NYでは、私がどんな状況であっても、誰も気にしていないし、見てもいない。
例えば夕食にお惣菜を買ったら、NYにいたら罪悪感を覚えるだろうか?
例えば、太った私の体を見て、NYの人は笑うだろうか?
否。
私は何をそんなに気にしていたの?
日本の小さな街の中で、人の目ばかりを気にしていたの?
いろんなことが、良い意味でどうでも良くなってきて、私は帰国してからも、生きることがとても楽に感じています。
別にどう思われたっていいや。自分がどうあろうと、言いたいやつは言う。
そんなことよりも、私はあのNYの人たちのように、自信満々で街を歩いていたい。人生を自由を思い切り楽しみたい。好きなことをしたい。
なんのために生まれてきたの?楽しむためでしょ!と今は毎日そう思っています。
やりたいことができることに感謝し、いつも機嫌良くいきたい。
そしてあのNYの女性たちのように、胸を張って堂々としていたい。
人々は誰も彼も皆、自信満々に見えました。
NYではたくさんの親切を受ける機会もありました。
こちらが困っている、教えて欲しいと言えば、真剣に話を聞いてくれました。
個人としてみんながちゃんと立っている、そして相手を一人の人間として尊重してくれる。人間同士のリスペクトを感じました。
もちろんたった1週間では、見えない部分もたくさんあると思いますが、
人間が成熟していると感じました。
今回、私は憧れを経て、実際に行ってみて、本当にNYが大好きになりました。
大きい声で言い争っていても、肌を露出していても、道に寝転がっていても、蒸し暑い地下鉄の駅も、汚れてゴミの匂いがする道も、全てが愛しかったです。
生きている。ここでは人がイキイキと生々しくそしてふてぶてしく生きている。
少し怖くて、でもなんか楽しくて、そしてめちゃくちゃかっこいい。
NYに限らず、いつも自分が身を置いている環境を一歩出てみると見えてくるものがたくさんあります。自分の悩みなど、ところ変われば悩みではなくなる。いろいろな場所で色々な人が一生懸命生きている。それを知ることは心を強くしてくれます。
NYで息がしやすかったと、このシリーズで書きました。
それは私がいつも日本で身を縮め、閉塞感を感じていたせいかもしれません。
先日、岡田育さんのコラムを読んで、腑に落ちました。
そのままでいい。恥じることなど何もない。泥臭くやっていい。カッコ悪くていい。誰に許可をもらわなくてもいい。
残りの人生がいっそう楽しみになってきました。
おわり