春先のマグノリア:ヘレン・カーター氏によるドラフティング動画のレビュー
必要なもの
製図用フィルムマット
消しゴム
私は4年ほど前から色鉛筆を使っていますが、大きな一歩を踏み出し、製図用フィルムのような滑りやすい表面に挑戦したのは今月になってからです。
製図所で機械の配置図を作る仕事をしていた時に、フィルムはよく使っていたので、全く初めてというわけではないのですが、30年前はインクを使っていたのです。
新しいことに挑戦するときは、やはり使い慣れたものに手を伸ばしたいものです。今回の実験では、ライトファストを選びました。この鉛筆は、より伝統的な表面で使用したことがあり、その扱いやすさが気に入っています。
まず、表面について少し説明します。このフィルムはプラスチックの一種で、半透明でつや消しの外観を持ち、顔料を付着させるための非常にわずかな質感(両面)を持っています。
両面マットのものを選ぶと、裏面も描けるので、暗い部分のコントラストを強調するのに便利でした。
ライトファストは、初めて使う表面での作業を予想以上に使いやすかったです。スクイッグの練習を何度か行い、筆圧テストを行ったところ、ごく軽い筆圧で描けることがすぐに分かりました。
いつものように左上から描き始めたことで、様々な技法を試すことができました。
暗い茎の部分は、鮮やかな黄色から深いレーシンググリーンやダークショコラまで、色を重ねていく必要がありました。
ライトファストは、オイルベースとクリーミーな質感のお陰で、混色もしやすく、この表面と相性がとてもよく合っていました。シャドウ部分で強く押しても、滑らず、ベタつかず。マーズブラックは、裏面の一番濃い影の部分に塗ると、より深みのある仕上がりになります。
花びらには何枚かレイヤーを重ねる必要があり、シェーディングを加える際にいくつかの縞模様を避けるのが大変でした。私は手が重く、軽い筆圧だといつも苦労します。
フィルムは消しゴムで簡単に消せるので、その分、筋を浮かせて塗り直すことができました。花びらのいいところは、自然な方向性......つまり、構造上、自然な線があるところです。その自然な線に沿うようにマークをつけていくことで、重たいマークだけを処理することができました。
背景は無地なので、一番難しいかと思いましたが、ライトファストは顔料が多いので、軽く重ねてから少し重めにぼかすという手法が比較的簡単にできました。
私は、塗り始めと終わりの境目を避けるために小さな楕円で作業し、準備が整うまで走り書きしたり筆圧を変えたりしないように気を付けました。
色鉛筆から出る粉は、軽い筆圧で描い今回は殆ど出ませんでしたが、汚れがついても比較的簡単に落とすことができました。
手のひらの下に予備のフィルムを敷いて作業しましたが、これも色見本になりました。埃が出たときは、パステル画のように埃を払ったり吹き飛ばしたりするのではなく、ページを軽くたたくだけで処理できます。
製図用フィルムに描くもうひとつの特徴は、「裏」の色が「表」の色に影響することです。この写真では、黒と白の裏打ちが、絵に違いをもたらしているのがわかります。
ライトファストは不透明で、ページ全体を覆うように塗ったので、黒い裏打ちはあまり違いは見られません。もし、もう少し半透明の鉛筆を使ったり、フィルムを覆い隠せなかったりしたら、もっとはっきりしたものになったでしょう。
裏打ちの色を変えると、面白い効果が得られるので、始める前に考えておくといいと思います。
この組み合わせで得られる柔らかさがとても気に入っています。ライトファストは、よく削ればシャープな芯先を作ることも不可能ではありませんが、枝や背景のつぼみのソフトフォーカスは、先端が丸い方が描きやすかったので、削らずに使っていました。
製図用フィルムを使ったのが初めての割には、出来には、割と満足していますが、ライトファストだったから、楽にこの結果が出たのだと思っています。
ライトファストは本当に万能で、これまで試したどの表面にも適しているように思います。今回の実験では、薄い筆圧の力で多くの顔料を沈着させ、硬い芯とは裏腹にクリーミーな質感でよく馴染み、この種の表面には完璧な美しい不透明な作品を描き上げることができました。
皆様も機会があれば、ぜひ試してみて欲しいと思います。
本稿を提供して下さったヘレンさんに感謝致します。