ノモト
ノモトは、僕の大学時代の親友だ。
ノモトは、実家が米屋だ。
大学時代、炊飯器を大学に持ち込んで、深夜に白米を食い、モンスターエナジーを飲みながら徹夜していた。
ノモトは、背が高い。
高校の時はサッカー部の部長だったらしい。
ノモトは、女性には消極的だ。
共学のサッカー部の部長だったが、彼女はいなかったらしい。
ノモトは、単純な音楽が好きだ。複雑な音楽を流すと、「ウゼー」と鳴く。
大学時代は、いつも作業中「Summer party mega club mix vol.1」みたいなYoutubeのプレイリストを聞いていた。
ノモトは、口だけのやつを小馬鹿にしている。
そういう人間といるとき、ノモトは明らかにそいつの話を聞いていない。目の前であくびしたりする。
ノモトは、くじ運が強い。
フィリピンに短期留学して、最後にカジノで豪遊したときに、大勝ちして、留学費用にお釣りがつくくらい稼いで帰ってきた。
ノモトは、デカイことが好きだ。
ダルビッシュの話と、大谷亮平の話と、アメリカの話と、宇宙の話をする時、テンションが高い。
ノモトの口癖は、「オケ」だ。
突然俺が、「来週西麻布で飲もう」と茨城の実家にいるノモトに言っても、「オケ」
年始にバンジージャンプに行こう、と言っても、「オケ」
明日アメリカ人の友達お前んちに連れてくわ、と言っても、「オケ」
間に合わない建築の課題を徹夜で手伝ってくれ、と言っても「オケ」
ノモトの引っ越しの手伝いか何かで、俺が運転をして、車線変更で違反を取られ、罰金を払うとなったときも、「オケ」
俺はそれに甘えて、ノモトに何回授業の出席を取ってもらい、家のシャワーを借り、金を借り、テストの過去問をもらったか分からない。
「わりいな」というと、「別に減るもんじゃね〜しな?」といつも返ってくる。
ノモトが、一つだけ「ダメ」ということがある。
ノモトは、赤信号だけは何があっても絶対に渡らない。
多分、世界最後の日で隕石が降り注いでいても、あいつだけは赤信号で止まる。
理由は、それがサッカー部のルールだったから、らしい。よくわからない。
年始に、バンジージャンプに行く前、ノモトの実家に行った。
ノモトの実家は、デカかった。
ノモトの地元を、ノモトと一緒に一時間、ただ真っ直ぐな道を歩いた。
空、道、田んぼ、以上。
ノモトの地元は、ノモトだった。
オケ。
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