広告費ゼロなのに、なぜ一流のアスリートや経営者が僕らのジムに集うのか?
僕らが広告をしないワケ
僕はジムを経営していますが、広告を出していません。
なぜか?
それは「お客さまの体が変わること」がいちばんの広告だと思っているからです。
想像してみてください。
もし、知り合いが急にイキイキとし始めて、見た目もカッコよく変わっていったら「あれっ? なにかやってるんですか?」と聞くはずです。
聞かれたほうもうれしくなって「いま、こういうジムに通っていて……」「こんなトレーナーがいて……」などと話したくなるでしょう。
僕らは、お客さまのパフォーマンスを上げるだけ。「筋肉をつけたい」「元気になりたい」といった人たちの想いを叶えるだけ。
そうすれば、その人たちは自然と僕らのことを伝えてくれます。
結果がいちばんの宣伝。
その説得力は、どんな看板にも、バナー広告にも、テレビCMにも勝ります。
お客さまこそが「いちばんのメディア」なのです。
「幽霊会員」を出さない
僕らは「結果」にこだわります。
その点で「幽霊会員」というのはマイナスでしかありません。
お金をいただけるのにジムが稼働しなくていい「幽霊会員」。そういう人たちが増えることは経営的に得だ、と考える経営者もいるかもしれません。
でも僕はそれを許しません。
先ほどもお伝えしたように「お客さまがいちばんのメディア」なのですから、「幽霊会員」はものすごい損失になります。
幽霊会員は、まわりに広めてくれないどころか、「あそこでは結果が出なかった」「お金の無駄だった」とまわりに伝える可能性もあります。
僕らは目の前のお客さまに「結果」を提供し続けてきました。
だから、いい評判が広まり、本気で結果を出したいお客さまが集まってくるようになったのです。
結果的に僕らは広告などを考える必要もなく、結果を出すことだけにさらに集中できるようになる。
この好循環に入ることができたわけです。
お客さまからの「やめてくれ」
以前、こんなことがありました。
僕のジムでは月額の会費をいただいています。ただ、仕事の都合で毎月同じ頻度で通いづらいお客さまもいらっしゃいました。
そこで僕は、そのお客さまに「チケットを繰り越せる仕組み」を提案しました。今月1回しか来られなかったら、残りのチケットは次の月に使って下さい、というものです。
しかしお客さまから言われたのは「そんなのやめてくれ」という言葉でした。
チケットを繰り越せれば、お金も無駄にならないし、当然よろこんでもらえるだろうと思っていました。でも、そのお客さまは「行かなくてもいいや」と自分を甘やかしてしまうからやめてほしいということだったのです。
僕は、ハッとしました。
ジムは体を変えていく場所なので、やはり週に1回程度は来てもらわないと、僕らもなかなか結果を出せません。結果が出なければいちばん困るのはお客さまです。
「目の前の人をよくすること」に真摯に向き合ってきた姿勢が、お客さまにもちゃんと伝わっていたことをうれしく思いました。と同時に、それを軽視しかけた自分に気づかされたできごとでした。
「いいお客さま」は「いいお客さま」を連れてくる
僕がジムをつくったときからこだわっているのが「紹介制」です。
「一般に募集したほうが儲かるのでは?」と思われるかもしれません。
でも僕は「たくさんのお客さまがいらっしゃる」ということよりも「どういうお客さまがいらっしゃっているか?」がすごく大切だと考えています。
素敵なレストランやホテルと同じように、提供されるモノやサービス以上に「場の空気」は重要です。
僕らはただ単に会員数を増やしていくよりも「いいお客さま」だけの空間をつくることを重視しました。
いい人はいい人を連れてきます。
そのスパイラルを生み出し「最高の場」をつくることにこだわったのです。
僕らのジムは「デポルターレクラブ」という名前ですが、その名のとおりパーソナルトレーニングは「クラブ」なのです。
トレーナーという「個人」にお客さまがついて、お客さまどうしのコミュニティができていく。銀座などのクラブがやっていることと本質は同じなのではないか、と思ったりもします。
お客さまどうしでビジネスが始まることもあります。しかもジムであれば、お酒の場ではなく、トレーニングしてリフレッシュしている状態なので、よりいい関係が生まれやすかったりもする。
僕らは「健康」を軸として「いいお客さん」どうしのコミュニティをつくっていると言えるかもしれません。
もちろん最高のトレーナーと最高のコンテンツをご用意して、お客さまが結果が出せるよう全力でサポートします。ただ、魅力はそれだけではないと思っています。
デポルターレクラブという「場」こそが唯一無二の価値なのです。
「一流のお客さま」に学ぶことも多い
西麻布にある一軒家のジム、デポルターレクラブ。
ここには、オリンピックに出るようなアスリートやワールドカップで活躍するようなサッカー選手も訪れます。
僕らも「一流であり続けよう」とつねに言っていますが、集ってくるお客さまも正真正銘、一流の方ばかりです。
僕らはそうした「一流のお客さま」から、多くのことを学ばせていただいています。
集ってくるのは、アスリートだけではありません。
お客さまの中には、大学の先生やお医者さまもいらっしゃいます。そういう方たちからは、体に関する知識やリラックス法などの最新知識をインプットさせていただいています。上場企業の経営者からは、ビジネスの専門知識を学ばせていただいたり、人をご紹介いただいたりすることもあります。
僕自身、一流である自負はあります。健康やボディメンテナンスの分野では誰にも負けないと思っています。
一方で、一流であり続けるためにも、まわりの一流の方に学び、育てていただいているのです。
そうすることでデポルターレクラブがさらに最高の場所になり、最高のものをお客さまに提供できるはずだと思っているのです。
「目の前の人をよくする」ことだけを考える
僕が考えていることは、シンプルです。
それは「僕にかかわってくれる人たちに健康で幸せであってほしい」ということです。
パーソナルトレーナーとして20年以上のキャリアがありますが、やってきたことはとてもシンプル。
目の前のお客さまがいかに「理想の姿」になれるかを考え、伴走する。
根本的には、ただそれだけ。
この思いは、プライベートでも同じです。
僕のまわりの友人や知人には健康な人が多いのですが、それは僕がアドバイスしているからです。
「なんだか体がだるいんだよね……」「いまいちやる気が出なくて……」など、ちょっとした不調を感じる人がいれば、食事の摂り方やサウナの入り方など、僕が持っている知識をひとりひとりに合わせて伝えます。
「もっとカッコよくなりたい」「仕事をバリバリこなしたい」など、さらなる進化を願う人には、ウエイトトレーニングやジョギングの仕方などを教えます。
僕がお答えできる分野を超える場合は、これまでに培ってきたさまざまな専門家とのネットワークを駆使して、信頼できる別の専門家を紹介したりもします。
きれいごとに聞こえるかもしれませんが、根本は「よろこんでほしい」ということに尽きます。
不安なことを取り除いてあげたり、人を健康にしてあげたりすると、やっぱりすごくよろこばれます。それを見て、僕自身もうれしいし、心地がいい。
「仕事だから」とか「ジムを経営しているから」ということではなく、ただシンプルによろこんでもらうことがうれしいのです。
今後このnoteでは、一人ひとりにアドバイスすることは難しいですが、デポルターレクラブに蓄積されている健康や体づくりの知見をわかりやすくお伝えしていこうと思っています。