「未来ドロボウ」を読んで。
ども。超ひよっこブロガーのでぽろんです('ω')ノ
みなみなさまの手で立派な鶏に育て上げてください。
さて、今回もまたまたネタが決まらず、本棚にあった漫画をちょっとピックアップして、その感想文みたいなものをつらつらと書いてみようかと思います。
小学生の時に持っていた単行本に「藤子不二雄少年SF短編集」というのがあってですね。いつの間にかどっか行って、最近Amazonでまた買い直したんです。懐かしさ大好きっ子なので。いや、オッサンなんですけども。
この「SF」はSukoshi、Fushigiな物語の意味なんですが、収録されてるすべての短編がおおかたダイブフシギな内容です。
その中でも、小学生の時にはそんなに印象になかった「未来ドロボウ」という作品がいたく気に入りました。
主人公の学は、人生の成功者を夢見る中学生。
勉学に勤しむ彼は、ガールフレンドの和子のさそいも断り、団地の野球チームのエースでありながら、野球よりも勉強を優先させるほど。
ところが父親の工場が潰れてしまい、高校進学を諦めざるを得なくなる。 目標を失った学は近所の野良犬のノラシロと遊ぼうとするが、ノラシロはとある屋敷の中へと迷いこんでしまう。しかたなく学もあとを追い屋敷の中に入ると、執事に見つかってしまう。
あくる日、学は進学のことなど意に介していないかのように、早朝から体操に励んでいた。正座で両親に挨拶を交わし、「春が来た」を口ずさみ、元気に学校へ飛び出して行く。両親は学の気が触れたのではと心配した。
夫の仕事探しに出かけて行くのを見送った母親が玄関先まで戻ると、サングラスをかけた恰幅のいい老人が玄関ドアのドアスコープから中を覗いていた。
「お、おかあさん!」
開口一番、老人が話しかけて来た。母親は人を呼び、老人は居なくなるが、しばらくして執事が訪ねて来た。
といったストーリーなんですが、お察しの通り、早朝から体操をしていた少年は、学が入り込んだ屋敷の主であり、ドアスコープを覗き込んでいた老人こそが学です。
学が屋敷に迷い込んだ夜、高校進学を諦めて自暴自棄になっていた彼に屋敷の主は言います。
「君がうらやましい」と。
冗談でしょう、と怒る学を主はなだめ、未来があるということはそれだけで素晴らしいのだと説きます。
「それでもやっぱりおじさんがうらやましいよ。これだけの財産があればなんだってできるじゃない」と言う学に主が持ち掛けます。
「もし自分の財産すべてと、君の未来を取り換えられるしたらどうするかね?」
「大喜びで!!」と言う学に、執事は契約のサインを迫り、互いの記憶を完全に入れかえる機械に押し込めます。
主は病により余命いくばくもなく、少年の若さをそっくり頂くことにしたのです。
屋敷に閉じ込められた学は、ベッドに寝たきりの暮らしを送っていました。少なくともあと5ヶ月ほどは寿命があるというのに…。
執事は老いた少年を慰めます。
「大スクリーンの映写室に映画でも取り寄せますか」
「来日中のボリショイサーカスを大広間へ来演させますか」
「ヨット、専用機で世界旅行でもなさいますか」
「残された日々を、できるだけ楽しくお過ごしいただきたいのです」
一方、若返った老人は野球に勤しんだり、和子と夕焼けを眺めたり、青春の限りを尽くします。
和「今日は、勉強は?」
学「いいんだ」
「ニコニコ楽しそうね」
「ああ、楽しいね。なにがって? なにもかもさ。
空の青さも、雲の白さも………
太陽のまぶしさも、なにもかも素敵だなあと思うんだ」
「フウン………?」
和「どうしたの?」
学「幸せすぎる……」
「おかしな人」
「君にも今に分かるさ。何十年も経ってから……。
あのころの一日一日がどんなに光り輝いていたか………」
「おじいさんみたいなこと言うのね」
「実はわしは…… おじいちゃんなのじゃ!!」
「ああびっくりした。おどかさないでよ!!」
「アハハ…… ごめんごめん」
学の姿の主は、かりそめの家族との夕食時に、金銭のめどがついて高校進学を諦めなくてもよくなったことを聞きます。
主は元の自分の屋敷を訪ね、執事に問いました。
「もとのわしは元気かね?」
医師の見立てでは4か月も持たない。それを知った主は続けます。
「手遅れにならないうちに記憶交換をすませたい」
「えっ、もとに戻られるのですか!?」
「若いということは想像以上に素晴らしい。
素晴らしすぎるんだ!!
世界中の富を持って来てもつりあわないだろう。
ようするにこの取り引きは不公平だった」
「しかし…… あと4ヶ月ですよ!!」
「だからこそ、なおさらこの未来を正当な持ち主に返さねば。
わずか数日のいれかえだったが、わしには何十年にもあたる充実した毎日だったよ」
「あの子の未来がどうなるか………
それは分からないが、ただひとつ言えることは、これからの毎日を一日一日大切に、生きていってくれるだろうということだ」
というお話なんですが、なんかこれを書いててゾッとしました。
もう時間を遡ることができないということや、無駄に過ごしてしまっているだろう積み重ねられた時間への怖さということもそうなんですが、
単純に「時間という戻れないステージの上で繰り広げられる圧倒的な青春」とでも呼ぶべき出来事が存在してくれる稀有さに、です。
この「青春」は、何も実年齢にとらわれた概念ではないと思うんです。
あまりにも素晴らしい。素晴らしすぎるんです。(おかしな人)
この老人に徹底的に感情移入して読むほど、そんな感覚に陥ってきます。ホントに未来に行って戻って来たかのような、ちょっとしたタイムトラベル気分が味わえて最高なのです。
人生の折り返し地点に差し掛かって、今までに触れて来た映画や、音楽や、小説や、ポエムなどが、振り返ればまた違った果実を実らせているのかもしれないと思った44歳の出来事でした。
最後に、僕のノスタルジー琴線に触れまくるセリフをもう一度紹介して終わりにします。
ではまた('ω')ノ
「ああ、楽しいね。なにがって? なにもかもさ。
空の青さも、雲の白さも………
太陽のまぶしさも、なにもかも素敵だなあと思うんだ」
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