医療機関が意図するしないにかかわらず認知が広がっていく
技術の進化によって、同じ疾患に対してさまざまな治療法が開発され、医師の考え方も多様化しています。西洋医学を中心に薬の投薬によってすぐに治すことがベストだと考える医師もいれば、できるだけ投薬は控えながらゆっくり治すことがベストだと考える医師もいます。
西洋医学と漢方などの東洋医学を併用し、体質改善などの根本治療も視野に入れた方がよいと考える医師もいるでしょう。皆が平等に同じ治療を受けられるとはいえ、医療機関によって治療方針や考え方には大きな差が出てきているのです。
医療機関の治療方針がそれぞれであるように、患者側が希望する治療方針もそれぞれです。仕事が忙しいから点滴を打ってさっさと改善させたい人もいれば、根本的に体質を改善して症状を治していきたいと考える人もいます。あまり強い薬を使いたくない人もいれば、強い薬で短期間に治したいと考える人、さらには漢方薬をメインに治療していきたいと考える人もいます。
しかし基本的な情報だけでは、その医療機関がどのような治療方針なのか、過去に医療機関がどのような症例を扱っていたのかという深い情報まで読み取ることはできません。
人は分からないもの、よく知らないものには不安を覚えやすいため、情報を出していない医療機関よりも情報を出している医療機関に興味を持ちます。そして集まった人が実際に治療を受け、今度は自分の体験をネット上で公開するようになります。これがインターネット上の口コミです。かつては身近な人からしか得られなかった口コミは、インターネットで病院名を検索すれば簡単に手に入るようになっていきました。
インターネットの普及により、医療機関が意図するしないにかかわらず近隣以外の地域にも医療機関の認知が広がるという現象が起こりました。
さらに診療圏の拡大に拍車をかけたのが、先ほども触れたインターネット上の口コミの存在です。数ある医療機関の情報を集めたⅰタウンページのような役割を持つポータルサイトが次々に登場し、GoogleMap上で施設を検索すれば、自由にユーザーが口コミや評価を入力できるようになっていきました。
一般的に医療機関を選ぶときは家や職場から通いやすいところを探すものですが、そうした検索方法に加えて「評判が良いか」がネットでも可視化されるようになっていったのです。
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