ごろり読書「自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ」

なるべく社会との関わりを薄め、できるだけ快適にゴロゴロして暮らすことを目指し実践したドキュメンタリー。

「これはお前にピッタリの本だから読んでみて」とツッキー(友人)から紹介されて読んだ。

結果的には、この国で生きていく上で一般的には当たり前とされているが自分には耐え難い部分や、感覚的にズレている部分はとても共感でき、同志を得たような気持ちになり元気がでた(ツッキーの予想的中)。
ただ著者は生活の中で必要とするものが自分よりもかなり少ない(BはBasicでもある)。ここまでミニマルで淡い暮らしができるかというと疑問、というか不安がある、というかたぶん無理。

著者のような「Bライフ」を実践するかはさておき、今の暮らしの中にある本当に必要では無いものと、それらを手に入れるために払っているコストを減らしたいという願望はたくさんの人が抱える問題だと思う。

その問題に対してこの本では現実的な必要最低限(Basic)を目指しているが、目指す先はゴロゴロして暮らすことなわけで、目指す過程でストイックに頑張ってしまってはわけがわからない。なので極力テキトウにやるわけだが(Bはbabyish幼稚のBでもある)、そのテキトウさ加減のゆるい雰囲気が文面に滲みでていて読んでいて心地よい(リアルは色々大変なんだろうが)。

ミニマムと快適さの狭間で薪ストーブを導入し、予期せぬ新しい喜びに目覚める下りもとても面白い。曰く、「生の火の魔力に魅了されてしまったのだ。ああ、筆者は馬鹿になってしまった。」
自分も焚き火が大好きなので良くわかる。

その他、現実的に問題となる法律やお金の情報や(3章)、自身がBライフを送ること、あるいはたくさんの人がBライフをしたらどうなるかなどの社会学的な考察(4章)などがあり、上記の問題に相対している人には貴重な経験談になると思う。

人によって必要最低限は違うだろうが、それを見極めようとする作業や、現実的に無駄を減らすための行動は、この時代に生きる人には、豊かで後悔のない時間を過ごす上でとても大切なことだと思う。

#読書感想文 #高村友也

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