夢潰えたローカル線と、日常に溶け込むガイドウェイバス
太閤通から
普通|徳重
6710
予定よりも若干早く仕事がハネたので、太閤通駅近くの車庫にクルマを収めて、桜通線へ。
さすがにこの時間はガラガラだ…いや、いつもそうか。
名古屋から
普通|岐阜
クモハ313-1001
桜通線を降りて、適当に歩いたら広小路口に出てしまい周りの風景に見慣れず、思わずキョロキョロしてしまう。
315系が入ったが、まだまだ絶対数では上の313系。16時05分、発車…と思ったら先行しているはずの特急「ひだ」が、これまた遅れの東海道新幹線からの接続待ちをしているようで、発車が遅れるとの事。
仕方ないな、今朝の雨はひどかったし今も静岡あたりで大雨だからな…結局3分遅れで発車。
空は明るいけど、庄内川はこんな感じ…
枇杷島で下車。
枇杷島から
普通|勝川
キハ11-301
ここからTKJ(東海交通事業)の城北線に乗り換え。
ここまで乗ってきた東海道線の隣にホームがあるので、乗り換えはラクだ。
面白いのは、この線の起点である枇杷島駅が稲沢線という貨物線に「間借り」するような感じで設けられている点。だから列車待ちの間にも貨物列車が通過しており、初めて乗る人がこの光景を見ると、「本当に旅客列車が来るのか?」という不安を感じさせるだろう。
やってきた1両編成の気動車は、かつてJR東海にも導入されていた普通列車用の車両であるキハ11型だったが、そのJRからはすでに引退済で今はこの城北線に残るのみ。
ボックスシートに少しだけ空席を残し、28分発車。
駅を出ると複線になり高架を駆け上がる。かなり高い所を走っているようで、景色はすこぶる良い。
ほどなく最初の停車駅・尾張星の宮着。ここで結構降りた。まあこれだけ街が広がっているから、乗降もあって然りだろう。
ちょっと古びたホーム、模型然とした屋根、そして時代を感じさせるオレンジのベンチ・・・この必要最低限の「割り切り感」が、程よい「渋さ」を演出しているように思える。
次の小田井までの間で上下線が分かれたが、これは幻の貨物線と呼ばれている「国鉄瀬戸線」(瀬戸市~高蔵寺~勝川~稲沢・枇杷島)の名残で、ここで分岐し北西へ線路を延ばしつつ東海道線の稲沢へ接続するという計画だったそう。
城北線自体が瀬戸線の計画の中に組込まれており、国鉄改革の煽りを受けて愛知環状鉄道と城北線以外は「未成線」となってしまったが、もし実現していれば愛知環状鉄道(高蔵寺〜岡崎)と共に名古屋近郊をぐるっと大回りするという「夢のような」鉄道路線になっていただろう。
小田井で学生がわんさと乗車。下校時間だし当然か。
それにしても真っ直ぐな線形で、惚れ惚れする。横を走る高架道路は名二環で、真下には国道302号が走る。重量のある貨物列車に耐えられる軌道で作られた「瀬戸線」として建設された「名残」で、JRやTKJの「やる気」次第では高速運行も可能なのでは?と思ってしまう。
こういうシチュエーションって何処かで見たことがあるな・・・と思ったら、そうだ、伊勢鉄道だ。あの線も関西と紀勢線をバイパスさせるための路線だ。城北線も東海道と中央線をバイパスしているから、まあ環境としては似ているか。
味美と書いて「あじま」…うーむ、難しい。
45分、終点の勝川着。
さっき中央線と接続している、と書いたが、厳密には城北線の勝川駅は400メートルほど離れたとこにあり、JR線に乗ろうとすれば徒歩連絡を強いられる。
JRの勝川駅には、高架化工事の際に城北線用と思われる乗り入れスペースを設けているのだが、どういう訳か使われていない。惜しい限りだ…
勝川から
普通|高蔵寺
クハ315-1
勝川駅にて。さっきの城北線乗り入れスペースを見ながら、「もう城北線がこないのならここで緩急接続したら?」って思ったが、おそらく手前の新守山に待避線があるからやらんのだろうな…と思ったり。
やってきた高蔵寺行きは、315系のトップナンバー編成。このタイプもだいぶ出回ってきた感があるが、やはり「ファーストロット」に出くわすと気分が良い。
春日井を過ぎると、新興住宅地は散見されるものの、緑が増えてだいぶ郊外らしくなってきた。
しまった…郊外風景を撮ってて神領の車両基地を見逃してしまった(笑)
17時22分、高蔵寺着。
高蔵寺から
大曽根行き
G-04
これから乗る名古屋ガイドウェイバスは「鉄道」ではないけれど、途中から「準軌道」であるガイドウェイバスになることから、それならば普通のバスからガイドウェイバスに変わる区間も見てみたい・・・で、始発から乗ってみることにした。
始発の高蔵寺は発車20分前くらいなのに、僕含めもう7人が並んでいた。皆が皆、終点の大曽根まで行くわけではなかろうが、「バス区間」だけの利用も旺盛なようだ。
発車10分ほど前に、大曽根からの便がやってきて客扱い終了後、少し離れたところで停車。十中八九まであれに乗ることになるのだろう。
56分、ようやくバス停にやってきた。やはり向こうで待機していたバスだった。席がサラリと埋まり58分に発車。
車両は名古屋市交通局に所属する、「日野ブルーリボンシティ」という大型路線バスだ。小幡緑地という所までは普通の路線バスとして走る。
庄内川を渡りきったところで名古屋市に入る。そして最初の停留所である東谷橋に着く。高蔵寺駅は春日井市内の駅で、春日井市内なのに名古屋市のバスが来てるのは奇異に映った。が、「市バスだから他市には乗り入れない」と教条的に川の手前で折り返すと「あと少しでJR駅なのに」と不便この上ないだろうし、その方が奇異に映る。
この「越境」乗り入れは人の動きに即した、ごく自然な流れなのだろう。
上志段味で最初の降車。この光景だけだと本当に普通のバス路線だ。まだ鉄道要素は見当たらない。
対向車線に見える志段味交通広場。
「交通広場」とは名古屋市交通局独自の呼び方のようで、要するにバスターミナル的なもののようだ。呼び方に「こだわり」のようなものを感じる。
沿線は住宅地だが、所々に空き地も見られ長閑さも垣間見せる。さっき乗った中央線の沿線風景に通じるものがある。しかし、あと数年もしたらその空き地にも家が建つんだろうな…
志段味エリアの端にあたる、志段味西小学校でまとまった乗車あり。上島では初の立ち客が出る。
吉根口付近ては竹林に最接近。丘陵地を走っているようで、アップダウンが結構続く。
「バス路線」としては最後の停留所・竜泉寺口を過ぎて、
白く舗装されたスペースで、ガイドウェイバスのモード変換のため一旦停車。足元で「ガコンッ」という音がした。ガイドウェイに沿って動く機構が出たのだろう。そして「ガイドウェイバス」の小幡緑地駅に入る。少し時間調整して18時27分、発車。
60キロくらいで加速。乗務員はハンドルを触らず、ギアチェンジと排気+フットブレーキだけ…この光景も知識としてはアタマに入っていても、いざ目の当たりにするとなかなか慣れない。ハンドルを触ってないのにぬるぬると動くサマは、やはり不思議な光景だ。
ガイドウェイバスの「駅」は皆一様にこのスタイルだ。
雨をしのげるという利便性の他にも、未来の乗り物の乗り場はこうあるべき、という方向性を示しているようで感じ入る。
だからといって奇抜か、と言われればそんな雰囲気は感じさせず2001年3月の開業から20年以上かけて、景色に溶け込んでいったのだろう。
川村を過ぎて、庄内川を一望。
バスに乗っているのだが、何となくモノレールかなと錯覚するような良い眺望だ。
直線区間で、小幡緑地方面行きのバスと相対速度120キロですれ違う。なかなかスリルがある。「すっ飛びながら走ってる」…そんなフレーズがアタマに浮かぶ。
34分、自衛隊の駐屯地が見えて守山着。終点まであと僅かだ。
ナゴヤドームを遠くに見ると砂田橋で、ふと車内を見ると席は全部埋まり立ち客が数人…なかなかの「乗り」だ。
鉄道よろしく、終点手前でゆっくりと徐行し、
終点の大曽根駅には、38分着。
高蔵寺から40分…開業から20年以上経った沿線利用者には、特別感は薄らいだであろうガイドウェイバスだが、僕のような県外利用者には440円(大曽根~高蔵寺、小幡緑地までなら250円)で楽しめる「アトラクション」に乗ったような気分になる。
大曽根から
普通|栄町
4002
目的地が栄なので地下鉄名城線でもよかったが、直近で名城線には乗ってるので、今回は名鉄瀬戸線をチョイス。
やってきた列車は銀色の車体に赤色の線…フロントフェイスを見なければまるで山陽電車みたいなデザインだ。
ここで結構降りた客ががいたため、ラクラクと座れた。これが地下鉄名城線だとこうはいかなかっただろう。
森下、尼ケ坂と高架区間をのんびり走る。付近はビルやマンションかポツリポツリと建つだけで、基本的に戸建てばかりの車窓だ。
東大手手前で地下区間に入り、
19時3分、終点・栄町着。今日の乗り鉄はここまで…
【完乗】東海交通事業 城北線
名古屋ガイドウェイバス(名古屋市交通局) ゆとりーとライン
名古屋市交通局 桜通線 太閤口~名古屋 0.9km
JR東海 東海道本線 名古屋~枇杷島 4.0km
東海交通事業 城北線 枇杷島~勝川 11.2km
JR東海 中央本線 勝川~高蔵寺 10.0km
名古屋ガイドウェイバス(BRT) 小幡緑地~大曽根 6.5km
名古屋鉄道 瀬戸線 大曽根~栄町 4.6km
小計 37.2km
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