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電車にて、雪

冷たい雨。雪の予報だったが、雪になりきれず。平日の昼前の各駅停車の電車は、すいていて、そりゃそうか、と思う。みんなどこへ向かっているのか。何かの巡り合わせで、今、同じ軌道を辿っている、見知らぬ人々。

音が鼓膜を振動させている。電車のがたごと音、後から乗り込んできた、女子高生の話し声、車内アナウンスのやる気のない声。色を隠している。

大きめの駅に到着して、人が入れ替わる。空気が変わる。とはいえ、見慣れたありふれた風景だと頭が処理する。イヤホンから流れる音楽が視覚情報に乗っかる。何かが結びつく。

初めてあの人の声を聞いた時、それは鼓膜を揺らし、その振動がこころを揺らした。懐かしいような、儚いような。守りたくなるような。私がこの世に生まれる前、ずっと話しかけてくれていたんじゃないかと、思う。計算が合わないけれど、どうでもいい。

目で音を聴いて、耳で色を感じる。剥き出しの、純度の高い愛について考えている。

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