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#紹介 夜は短し歩けよ乙女🍎


今回は、この本について紹介をしようと思います。

「夜は短し歩けよ乙女」

この作品は、黒髪の乙女にひそかに恋心を寄せる先輩が、乙女を追いかけながら(乙女の外堀を必死に埋めながら)も、2人が珍事件に巻き込まれる中で、周囲の人とご縁を結んでいくキュートでポップな京都を舞台にしたファンタジーです。


実は先日、この作品の舞台を観劇してきました!!!

安くはないし、コロナ禍だし…と迷いましたが、人生の転機になった作品だったし後悔はしたくないと思ったので、観劇してきました。
喜劇なのに、最高すぎて泣きました。。。


乙女が3次元として表現されている事もうれしい!し、ヨーロッパ企画さんの、まるで本を読んでいるかのようなセリフ・プロジェクションマッピングで明朝体の文字が落ちてくる演出が美しすぎて、感動!!!!大興奮でした。

私を変えた価値観

私がこの本から影響された価値観は、
「自分で意志や切り開く勇気を持ちながらも、ご縁を大切にすること」

です。

私は、この本の存在を、5歳上の先輩から教えてもらいました。
先輩は、人からの頼まれごとを断れない私に、この作品に登場するお友達ぱんちを教えてくれました。

最初、お友達ぱんち?なりましたが、先輩によると

こぶしを握るときに、親指を内側にしまうと、力が入らない。生きているとどうしても嫌なこととかがあるけど、相手を傷つけたくないけど、ダメと知らせないといけないときは、怒って殴りかかるのではなくて、そうやってポコッと親指に愛情をこめてグーパンをしたらいいw

と冗談交じりに放ち、ビールをグビッと飲みながら、教えてくれました。

私には、なんの事かさっぱりわかりませんでしたが、すぐにこの作品を購入し、読んでみる事にしました。

そのお友達ぱんちを同じように姉に教えてもらう黒髪の乙女という主人公がいて、まるで私なのではないか?と感じ、のめり込むように、作品を読んでいきました。

この作品に出会った事で、この黒髪の乙女や先輩が実践した、
「自分で意志や切り開く勇気を持ちながらも、ご縁を大切にすること」
のすごさを知り、
なんでも断らず受け入れるのではなく、
ダメな事はダメ!と意志を持てるように、
私もこの黒髪の乙女みたいに、生きていけたらいいな、と思えるようになりました。

先輩にこの本を教えてもらったのは、何かのご縁だった、と今でも感じています。今でもこの先輩との想い出は、心の宝石箱へしまっています。


私が好きなポイントの紹介

さて、この本は、黒髪の乙女にひそかに恋心を寄せる先輩が、乙女を追いかけながら(乙女の外堀を必死に埋めながら)も、2人が珍事件に巻き込まれる中で、周囲の人とご縁を結んでいく京都を舞台にしたキュートでポップなファンタジー作品なのですが、一体どこがそう思えるのか、どんなポイントが素晴らしいのか、ご紹介できれば。と思います。


簡単な物語のまとめ

ある京都の大学に通う先輩。その先輩は、「大学生になれば恋人ができる」なんて幻想であり、むしろ恋に恋をしているだけで、本人が好きとかそういうのじゃなく、”とりあえず!”で、リア充に属しているのが満足な戯言だ!と思っていました。
しかし、ある日、カフェにいたところ、黒髪の乙女が隣の席にやってきて何やら本を読んでいる姿を目にした先輩は、これまでの戯言を撤回するくらい、彼女に恋心を感じる事になります。そこで、先輩は、あらゆる手段をつくし、彼女の情報を手に入れ、彼女とお近づきになれるように、なんとか外堀を埋めていきますが、2人は様々な珍事件に巻き込まれていきます。

様々な人とご縁を結びながら、春夏秋冬と珍事件を乗り超え、2人の距離が近づいてくる、、

といった作品です。


1. 描写を描く文章表現がキュートかつポップで、美しい

いくつか、私が、キュートかつポップで、美しいと思った、作品の中の表現を載せたいと思います。

「私は太平洋の海水がラムであればよいのにと思うくらいラムを愛しております。もちろん、ラム酒をそのまま1壜(びん)、朝の牛乳を飲むように腰に手を当てて飲み干してもよいのですが、そういうささやかな夢は心の宝石箱へしまっておくのが慎みというものです。」by,黒髪の乙女

ラム酒をビンごと、グイッと飲み干してみたい!という欲をここまで綺麗に鮮やかに表現できるなんて、すごい。。

「カクテルを飲んでゆくのは、綺麗な宝石を一つずつ選んでゆくようで、たいへん豪奢な気持ちになるのです。」「まるでおなかの中が花畑になっていくようです。飲んでいるうちにお腹の底から幸せになってくるのです。」by,黒髪の乙女

カクテルを宝石に例えてみたり、
偽電気ブランという、ひそかに製造されている魅惑のお酒を飲んだ乙女が放った、お腹の中でお花畑が咲くという表現、
ただキラキラしていたり、熱くなっているだけでなく、
なんとも、美しいな、と思います。

「喉を流れ落ちるラムネは、夏の涼しさを濃縮した甘露の味と言うべきだった。」by,先輩

なんて、おいしそうなラムネなんだ・・・と思わざる終えない感じ、、
あーーーー。真夏の夏空の下でラムネ飲みたい!!!ってなりました。。


2. 世界観が普通じゃない(笑)

この作品は、世界観が普通じゃありません。(笑)
この点が、この作品が好きか嫌いかを分ける点になるのだと思いますが、


竜巻で鯉が巻き上げられてしまったり、
突然ある時その鯉が空から落ちてきたり、
2人の頭の上で、リンゴや鯉が「ポーーーン」と跳ねたり、幻の3階建て列車に乗って突如現れる李白さんだったり、炬燵が飛んでいたり、だるまをプリンセス(その名もプリンセス達磨)にしたゲリラ劇が起きたり、七色の吹き流しが、突然空を飛んで行ったり、、、

あらゆる場面が、愉快でオモチロイ表現に満ちています。(笑)


実際に京都にあるお店や街並みなどが出てくるのに、
こんなにファンタジーすぎるとびっくりしてしまいますが、

この現実を舞台にしているのに、
現実では絶対起きなさそうな事が起きていくGAPが
この作品の醍醐味
でもあるのかも、と思っています。


3. 2人の主人公 (黒髪の乙女と先輩) の 正反対さ

 この作品は、2人の主人公 (黒髪の乙女と先輩)を対比として捉えている印象があります。

「またしても、彼女は主役へ躍り出る」ため、
先輩はいつでも黒髪の乙女の外堀を埋めていくだけで主役にはなれなかったり、

ご縁をひたすら信じて、意志を持たず、よっぽどダメな場合を除いては言われるがまま進んでいく黒髪の乙女と対比して、
ご縁を装うかのように、事前に情報を入手して彼女の目の前に現れては、
「偶然通りかかったものなので、」とシナリオを事前に作って必然にしたのにも関わらず、黒髪の乙女と関係を結ぶ勇気が持てずに、「偶然だ」とごまかす先輩であったり。

しかし、ご縁や珍事件を通じて

黒髪の乙女は、「踏み出す意志

先輩は、「関係を結んでいきたいと伝える勇気」を手に入れ、物語は幕を閉じます。

この正反対さと、物語が進むにつれて成長していく姿が個人的にたまりません。


4. "ご縁" なしには、ストーリーが進まない

「今宵逢ったのも何かの御縁。」by,黒髪の乙女

この作品は、ご縁なしには、ストーリーは進みません。

春で起きた、先斗町での珍事件
夏に起きた、古本市での珍事件、
秋にも起きた 学園祭での珍事件、
冬にも起きてしまった、ウィルス珍事件は、
次の春へとつながっています。

おそらく、春で先輩が行動を起こしていなければ夏につながる事も、秋・冬へつながることもなかったでしょう。

先輩と黒髪の乙女だけでなく、
先輩と黒髪の乙女が所属するサークルの部員、サークルの先輩 奈緒子さん、借金を抱えたエロおやじの東堂さん、詭弁論部のみなさん、天狗の樋口さん、酒豪の羽貫さん、学園祭を取り締まる学園祭総事務局長、願いが叶うまでパンツを1年履き続けている男 パンツ総番長、お金持ちの寂しがりやおじさん李白など、本当に様々なご縁があります。

季節を超えて、登場人物たちが糸のようにつながっていく表現が、
人生を模しているようで、美しく、
自分も意識していかなければならない、と思えたポイントでした。


また、機会をうかがって、この作品を読み直して
宝石のようなカクテルを手に、
心の宝石箱にしまった先輩との思い出に浸る日を作ろうと思います。

#人生を変えた一冊

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