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モノラルの音が見た未来。clusterのDJカルチャーを紡いできたDJへの感謝の気持ちを添えて
2020年12月25日は、私にとってclusterとの大きな出会いの日となりました。「降り立った」のか「入り込んだ」のか、その表現の選び方に迷うほど特別な日であり、後のclusterのDJイベントカルチャーにとっても重要な転換点だと私は思っています。
この日は、当時週3回営業していた雑談&カジノバー「幸甚亭」のクリスマスパーティ「幸甚亭クリスマス 2020 ~1時まで延長戦~」が開催されていました。
私に関わるあらゆる人の耳が爆発しそうなくらい繰り返し言ったり書いたり色々しているので、もう何を言うのもという感じですが、その日はclusterで週3回営業していた雑談&カジノバー「幸甚亭」のクリスマスパーティ、そしてDJイベントである「幸甚亭クリスマス 2020 ~1時まで延長戦~」の開催日でした。
※ この記事は「cluster民と開演する非公式 Advent Calendar 2024」の11日目の記事です。
clusterのDJシーンを作ったDJ達。貧弱な機能を超えた情熱
今でこそclusterでは、DJイベントは日常の一部となり、珍しいものではありません。毎日なんらかのイベントが開催され、週末ともなれば複数のイベントが同時に開催されることもあります。
こうした状況は、クラスター社の加藤社長がファミ通のインタビューでDJイベントについて言及するほど、市民権を得た文化といえるでしょう。
しかし、約4年前のclusterの様相は全く異なっていました。イベント自体が数えられるほどしかなく、時にはイベントが全く開催されない日もありました。
現在では当たり前となっているロビー機能すら存在せず、Ichitaroさんの「いちこんカフェ」と、その他2,3個のワールドがあるだけでした。これらの数少ないワールドに、当時の限られたclusterの住民が集まっていたのです。
その中の重要なワールドの1つが「幸甚亭」でした。カジノゲームで遊べる雑談バーとして、謎部えむ氏の落ち着いた語り口と聡明さに惹かれた人々が集まる場所として機能していました。
といっても私が「幸甚亭」を知るのは後の話です。私のすべてのきっかけは2020年12月25日の「幸甚亭ライブ」にありました。
幸甚亭ライブ自体の感想は色んなところで書いてあるので端折ります。ただ、アバターを使って交流するSNSを体験したことがなかった私。そんな時に出会ったバーチャルな世界のDJイベントの衝撃は、とても書き表せられないほどだったという事は改めて書かせていただきます。
ですが、当時のDJ機能は極めて限定的で、現在のようなサブ音声やステレオ対応はなく、マイクから直接音楽を流すか、clusterの動画機能やBGM機能を使用するしかありませんでした。
この機能的な制約は確かに貧弱なものでしたが、幸甚亭ライブはその後も開催されていましたし、他にも突発的にはいくつかのDJイベントは開催されていました。
とはいえイベントの頻度自体は現在と比べると圧倒的に少なく、シリーズ化した幸甚亭ライブでさえ1ヶ月に1回程度。その他の単発のDJイベントを含めても、現在の何十分の一にも満たない規模でした。
しかし、こうした制約のある環境下でも、clusterでもDJが活動を続けていました。VRChatと比較されて機能面で劣っていても、モノラルでしか音が出せなくても、彼らは情熱を持って活動していました。
そうして情熱を持ったDJ陣がDJイベントというカルチャーを築き上げてきた結果が、現在のDJイベントの盛り上がりに繋がっている。私はそう思うのです。
もちろん、それらがなくても、いずれかの時点でDJカルチャーは発生していたかでしょう。ただ、こうした草創期のDJたちの努力があったからこそ、現在のclusterのDJカルチャーが確立されたのではないでしょうか。
uMe店長が手がけるmxizmのイベントが毎週水曜日の定例となり、そこから多くの定期・不定期のDJイベントがclusterに生まれていきました。現在では毎日のように何らかのDJイベントで音楽を楽しめる環境が整っています。
機能面での進化は、マイクからモノラルでしか音が出せなかった時代から、サブ音声機能の実装、そしてステレオ対応へと進化していったことで、よりクオリティの高い音楽体験を提供できるようになりました。
幸甚亭ライブから始まったclusterのDJカルチャーは、大きく花開いたのです。
「MONO to STEREO - Before Dawn」:感謝と希望を込めて
第1回の幸甚亭ライブが開催された2020年12月25日。そこから4年が経過した2024年12月25日(水)、DJイベント「MONO to STEREO - Before Dawn ~あの音が見た未来~」を開催します。
当時は、ステレオが使えるような未来や、毎日DJイベントが行われるような展開は誰も予想していませんでした。しかし、その種は確かに2020年12月25日の幸甚亭クリスマスパーティにあったのです。
この記念イベントでは、モノラル時代から活躍してきたDJと、次世代のDJイベントとして活躍しているmxizmがコラボレーションします。
出演者にはモノラル時代から活躍していたDolphiiiinさん、YSKさん、そして咲文でんこ、そしてmxizmからuMe店長が出演されます。
このイベントは単なる懐古ではありません。cluster内でのDJカルチャーの発展に寄与した歴史的な瞬間を振り返りながら、メタバース内での新たな創造の場として、コミュニティの未来を見据えた架け橋となることを目指しています。
過去に尽力してきたDJたちへの感謝を示すと同時に、新たなユーザーに向けた希望のメッセージも込めているのです。
過去ばかり振り返っていても仕方がありませんし、遠く遠く見えないような未来を見ていても仕方がありません。私たちは今を生きるしかないのです。
それでも過去を築き上げてきた人々に感謝の気持ちを持つことが、そして未来へ期待するメッセージが伝われば幸いです。
※ サムネは仮です。今日石灰さんに作成を依頼してきましたので、乞うご期待。
あと、最後に私信で恐縮ですが、謎部えむさんに誕生日に下記のメッセージをいただきました。
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謎部えむさんの始めた悪ふざけは私の「きっかけ」になりました。そして、私はもちろん、私以外の多くの人の「きっかけ」にもなっていると思います。
「その悪ふざけが今はこんな大きなうねりを生み出しましたよ。」
私からはそう伝えたいですし、悪ふざけがどこまで行くのか。ぜひ、どこかから見届けていただけると嬉しいです。
ジャーナリスト / ライター:咲文でんこ
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