第十七夜 イケメン僧侶はアイドル 後編
もちろん、仏教では僧侶の女犯は、厳しく禁止されている。ゆえに、稚児というシステムが成立したのだ。しかし、いつの時代も、僧侶の女犯はあとを断たない。特に、イケメンの僧侶は、もともと稚児出身であることが多いから、なおさらである。
鎌倉時代後期の作とされる、「春日権現記絵」には、僧侶たちの中に、一見、女性に見える装束の者たちが混じって描かれている。しかし、上皇の行幸を迎える公式の場に、僧侶が女性を同道することはあり得ない。
研究者たちによると、彼らは、女装の稚児である。彼らは女装をしていただけでなく、僧侶社会の中で、一種の女性として扱われていたらしい。
どうやら、女犯禁止は、形だけのものだったようである。
「空澄さまばかりに、ご奉仕していただいては申し訳ないから、アタイも空澄さまの陽物に触れたわ。太さは普通だったかな。でも凄く長いの。これがアタイのホトの奥に届いたら、と思うと、もうたまらなくて、アタイ、むしゃぶりついたの」
ごくり。私も息を呑んだ。
「先っぽをくわえて、舌でチロチロしてあげたら、空澄さまったら、興奮したのか、陽物をぐいっと、アタイの口に押し込んだの。喉の奥に当たって苦しかったけど、でも、空澄さまはそれがイイみたいだったから、そのまま舌を絡めて、吸ってあげたわ」
何とも生々しい話だ。
「しばらくそうしていたら、口の中のモノが大きくふくらんで、精をいっぱい吐き出したの。アタイはもちろん、こぼさず飲んだわ。尊いお坊様の精ですもの、ありがたくてもったいなくて、こぼすなんてできやしない。ありがたい精をいただいて、自分が極楽に近づいたような気さえしたわ」
何だかもう、バチ当たりなのか、ありがたいのか、よくわからない話になってきた。
「でも、本当に凄いのは、そこからだった。茎の中に残った、ありがたい精を吸っていたら、陽物がたちまち硬さを取り戻したの。さすがは仏に仕えるお方と思ったわ。なよなよした公達とは、違うわね」
まあ、あれはあれで美味しいんだけどね、と、清少納言さまは付け加えた。