第二十六夜 白拍子 後編
『平家物語』における、祇王と仏御前のエピソードは、以下のようなものである。
祇王は白拍子であったが、その美しさを、時の権力者である平清盛に見初められ、その愛妾となった。ある時、同じく白拍子である、仏御前が、
「舞を見せたい」
と清盛の元を訪れる。追い返そうとした清盛であったが、祇王が取りなし、二人で仏御前の舞を見ることとなる。
ところが、仏御前の舞を見た清盛は、たちまち彼女に夢中になり、仏御前を愛妾に迎え、祇王を追い出してしまう。そればかりか、仏御前がそのことを心苦しく思っているにも関わらず、追い出した祇王に使いを出して、
「仏御前が悩んでいるようなので、お前の舞でなぐさめてやってくれ」
いつの時代も、男は女心を知らぬものである。清盛の命に逆らえなかった祇王は、仏御前のために舞ったが、二人ともただ、心苦しいだけであった。
このことで世をはかなんだ祇王は、一度は自害しようとするが、思いとどまって出家する。共に出家した、母・妹と共に念仏を唱えていると、訪ねてくる者がある。それは出家した仏御前であった。
「私もいつ清盛さまのご寵愛を失って、あなたのような目に遭わされぬとも限りませぬ。その前に清盛さまの下を離れ、出家することにいたしました」
そして四人は念仏しながら暮らし、揃って極楽往生を遂げたという。
最高権力者にも屈せぬ、白拍子の心意気を伝える物語ではなかろうか。
私の体がもう十分に暖まっているにもかかわらず、彼女の舌は休むことなく、私の全身を這い回っていた。
彼女の手のひらが私のおなかを撫で、
「やや子ですね?」
そして秘裂をさすり、
「無事に産まれるよう、まじないをいたします」
すでに潤っているそこを割って、指が押し入ってきた。
それはかつての夫のように乱暴ではなく、拾のように情熱的でもなく、いたわりに満ちた不思議な指先だった。
私は安心して、全てを彼女に委ね、満ちてくる快感に身をまかせた。
次第に夜が明け、近くで拾が横になっているのが見えた。
拾の上に女がまたがって、腰を遣っているのが見えたが、不思議に嫉妬は感じなかった。