第二十二夜 中に出されたい…… 後編
ある調査によると、危険日に中出しされて妊娠する確率は四十パーセント、安全日だと二十パーセントだという。ちなみにコンドームを使用した場合の妊娠確率は三パーセント。カウパー氏腺液にも少量だが精子が含まれるので、医学的には、膣外射精は避妊法とはみなされない。
『中に出して欲しい』
『中に出してもいいのよ』
『中に出しなさい』
私は、いつものように激しく突かれて悶えながら、いつもとは違うことを考えていた。
もちろん、拾との子供を妊娠するのは困る。しかし、前の夫と連日いたしていても妊娠しなかったのだから、きっと大丈夫だろう。
だから、遠慮しないで中に出して。あなたの情熱を、奥で受け止めたい。
拾が気を遣ってくれるのも、私たちが、単なる性欲処理のためだけの関係でないことの証明であり、それはそれで嬉しい。
私にとって拾は特別だから。拾にとってもきっと、私は特別だから。
中に出すことが、愛の証というわけではない。傷つけるために中に出す男も、世の中には大勢居る。先日、男の生理を体験したことによって、私はその感覚が、体で理解できた。
でも、理屈でなく中に欲しいのだ。
(ちょうだい)
「はい、奥方さま」
心の中でうめいたつもりが、口に出していたようだ。拾の腰の動きがさらに激しさを増した。
もう私は、なりふり構っていられなかった。
「私の奥にぶちまけなさい。外に出してはいや」
拾の腰の動きが、ぴたりと止まった。
「奥方さま、それは……」
拾のためらいと共に、あれほどそそりたっていた陽物が、ゆっくりと萎えていく感触が伝わってきた。
こうなれば実力行使だ。
私は体を起こして、上にのしかかっていた拾を押し倒し、またがる形になった。そして激しく腰を打ち付ける。
「いけません、奥方さま……」
言葉とは裏腹に、拾の陽物は、再び硬さを取り戻してくる。
私は、それが嬉しくて、腰を激しく打ち付ける。
(逃がさない)
今、私は、どんな表情をしているのだろうか。そして拾は、それを見ているのだろうか。
「どいてください、奥方さま……」
その声に、私はさらに激しく、腰を打ち付けていった。
「あああっ……!」
拾が、女のような声をあげて、私の中に放つ。
私は、全身で拾を受け止めた。