第十一夜 被衣 後編
紅葉狩りや桜狩り(花見)は、平安時代には、すでに行楽として確立していた。『伊勢物語』百六段には、紅葉狩りで「親王(みこ)たちの逍遥したまふ」さまが描かれており、その時に詠まれた歌が、落語『竜田川』や、漫画『ちはやふる』で有名な、
「千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは」
である。
また、『大鏡』には、藤原道長が、大堰川に和歌、漢詩、管絃の船を浮かべて、嵐山の紅葉を愛でたことが記録されている。
この男女たちは、何か事情があって、このような人里離れた場所でしか愛し合えないのかもしれない。
ならば、この人たちと私たちに、何の違いがあろうか。
私は、彼らの邪魔をせぬように、拾の手を引いて、やはり人気のない樹の影へと導いた。
私は、樹の幹に抱きつくと、破廉恥にも、自ら単(ひとえ)の裾をまくり上げ、尻を高く突き出した。
拾が息を呑む気配が伝わってくる。
私の敏感な部分に、拾の熱い息がかかり、柔らかい唇が私の下の唇に接吻し、舌が私の中に入り込んでくる。
私は、声を押し殺して、尻を一層高く突き上げた。期待通りに、拾の舌が、私の中により深く潜り込んでくる。
拾は、舌を私の中から抜くと、敏感な豆を丁寧に舐めあげた。私の尻が、私の意志とは無関係に、より強い刺激を求めて、前後左右に動く。
やがて、拾は私の尻を、そのたくましい両手でつかむと、私の中に入ってきた。
「あっ……!」
何とか声を押し殺した。
拾も声を押し殺しているのが、気配でわかる。
私たちは、激しく腰を前後した。普段の姿勢ではなかなか当たらない、背中側の壁がこすり上げられる。
(また、新しいところを開発されてしまう)
いつもと違う腰の動きに感じたのか、屋外という環境に興奮したのか、拾は思ったより早く達した。
私はすかさず、拾の腰の前にかがみこんで、拾にこびりついた、拾の情熱と私の情熱の残滓を舐め取る。拾は、私の口の中で、みるみる大きさと硬さを取り戻した。
私は、樹に背中を預け、拾を抱き寄せ、片脚を高く上げた。今度は前から、拾が入ってくる。
拾の肩の上に、上げた脚を乗せて、私は拾が突き上げるに任せた。今度はお腹側の壁の、いつもと違う場所が擦れる。私は、いつもと違う何かを感じた。
再び拾が達した時、私のホトからも、潮のような何かがほとばしった。