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#13, 不登校自閉症児家での学び

今日は、もうかれこれ4年近くまともに"勉強"をしていない彼が、家でどうやって学習?をしているかについて書いてみようと思う。

彼は、誰が教えたわけでもないのに、英語、日本語、現地の言葉を3つ流暢に話し使い分けることが出来る。日本語においては時にビックリするような言葉や表現を知っていて、YouTubeなどを通して、今時の子供達がいかに多くの情報にさらされているのかがわかる。

英語については、コンピューターゲームのお陰で随分書く方も上達している。部屋からしょっちゅう「○○ってどういうスペルを書くの?」と聞いてくる。自分で調べる方法も教えてみたが、それは上手く行かず怒り出したりしてしまう。どうやら、彼の中では、聞いて書くというやり方が定着してしまったようだ。しょっちゅう聞かれるので、一時期はほぼ彼の部屋でゲームの時間に付きっきりだったこともあった。

それでも、世界中に散らばっているオンラインゲーム上の友達と一緒に遊びたい、ゲームの中で共通言語である英語でコミュニケーションが取りたい、という強い動機のお陰で、彼の英語力のみならず、コミュニケーション力も昔に比べれば随分と上達したように思う。

あと、彼は家族やコンサルタントを交えての卓上ゲームが大好きだ。我が家には沢山の卓上ゲームがあり、夕食の後に良く私たちは3人でゲームをする。ゲームの選び方一つでも、彼の学びに大きく関わっている。

例えば、"パンデミック"というゲームでは、感染症の拡がり方、科学、疫学、細胞とウィルスの違いなどについて教えたり、みんなで協力してパンデミックをおさえるという協調性やコミュニケーションが学べたりもする。

また"リスク"というゲームは、各国がお互いに征服したりされたりをする戦略ゲームで、その中で世界の地理を学び、戦争や歴史の話しもすることができる。

"トリオミノス"というゲームでは、自然に足し算が早くなっていったし、チェスをやらせれば誰も彼には敵わない。もちろん、コンピューターゲームにおいては、私の知らない沢山の知識を習得している。

また、息子はケーキ作りが大好きなので、材料の計り方から、単位を学んだり、沸点や凝固の話しから科学を学んだり、材料の買い出しからはお金の計算や栄養学の話しもすることが出来る。

また、ゲームの説明や、ケーキのレシピを読むことで、知らないうちに現地の言葉もスラスラと読めるようにもなっていき、それを論理的に説明して伝える力もついてきた。

そして、我が家には犬と亀2匹がいる。犬からは優しさや相手の気持ちというものを学び(これについては、また後日書いてみたいと思う)、時には獣医に付き添い病気のことを教えることも出来る。

亀2匹からはオスメスの違い、交尾を通して強いては男女の身体の違いを教えることも出来るし、生殖の仕組みについて説明もできる。

私は教育の専門家ではないが、視点を変えさえすれば、学びは家の中にもこんなに沢山転がっている。定型発達児を育てた経験がないのだけれど、自閉症で不登校のうちの息子に限って言えば、習いたい時にやりたい方法、興味の向くやり方で学ぶことが、一番身に付くし伸びるのだとつくづく感じる。

新しい療育施設では、現在1日2時間週に2回通えるようになってきた。毎回30分は、施設のキッチンでランチまたはケーキを作る時間割にあててもらっている。あとは、10分×2回の休憩時間を時間割にいれて、コンピュータールームでのゲームを許されているが、時間が来たらやめる訓練にもなっているのか、家でもキチンと約束した時間にゲームをやめれるようになってきている。

我が家の自閉症の息子は、計算ドリルや漢字ドリルに興味を示すことはない(正直私も嫌いだった)。また、長いテキストを読んだり、応用問題や文章問題の意味を理解することはできないかもしれない。

でも、生きていく上で必要な知識や技術について、少しずつ彼のペースで学んでいってくれればそれでいい。特別なことが出来るようにならなくても、元気で楽しく生きていける術を学んでくれればそれでいい。とてもささやかな望みではあるが、私たち自閉症児の親にとっては、それらはとても大きな贅沢な望みなのだ….



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