燈台へ バージニアウルフ新潮文庫
何度か手にし、挫折した1冊。文字が小さく第1部から細かい描写が非常に煩雑に思えるからだが、この1冊を読もうと思えば第1部は斜め読みすることをお勧めする。そうでなければ挫折するだろう。
第2部の散文詩のような短い章からぐっと惹きつけられるはずだ。第3部はかなり読めるし素晴らしいとさえ思う。リリーが放り出していた絵を描こうと決心する場面は非常に感銘を受ける。
解説など読めば終段で全ての人に解決?の光が差すとまで言い切る人もいるが、私には中々そうは思えない。はっきり解決の光を見るのは一人リリーだけのような気がしている。リリーが著者を表すのかと言うとそうでもないらしいがキャンバスに1本の筆を加えて「私は私のビジョンをとらえたわ」と最後の1行で言わせるのは正にそれだろう。
絵の続きを描こう、そしてとらえた、と言う場面は鷺沢さんの「誰かアイダを探して」を彷彿とさせる。そう思い至って鷺沢さんはバージニアウルフを読んだのだろうか?と思い目頭が熱くなった。
鷺沢さんの著書で未読もまだある。
バージニアウルフも短編集など買い置きしてある。