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良い人生とは、良い選択。

 「良い人生とは、良い検索」というのは、石田衣良さんの小説『アキハバラ@DEEP』の中で出てくる言葉です。映画化もされた小説なので、知っている人もいるでしょうが、これはAIを応用した”検索エンジンCROOKクルークを題材としたお話です。アキハバラを象徴するようなユニークな主人公たちが活躍する物語ですが、20年前のストーリーなのに全然色褪せていません。むしろ、現実が小説に近づいているような気がします。

 世の中便利になって、グーグル先生やヤフー先生に聞けば、色々なことを教えてくれます。最近では、音声認識が発達して、キーボードの入力すら必要ありません。ひとたび検索すれば、大量の情報が出てきます。しかし、大量の情報から”自分に必要な”な正しい情報を見つけ出すことは、至難の業です。

 人間には、選択肢が多すぎると、選ぶこと自体を拒絶する心理が働きます。これは、選択回避の法則と呼ばれている心理です。人は、多すぎる選択肢を前にすると、選択を回避し、すぐには正しい選択ができなくなります。この心理は、実験的にも確かめられています。

 アメリカのスーパーで有名ブランドのジャムの試食コーナーを設け、24種類の試食ができる場合と、6種類に絞った場合の2パターンを用意し、両者を入れ替えて試食する人数を計測しました。24種類のときには通行する来店者の60%が試食に立ち寄った一方で、6種類のときは40%という数値になりました。つまり、種類が多い方が人を惹きつけるということが、この実験からわかりました。ところが、ジャムの購買に至った試食者の人数を計測すると、24種類の試食コーナーを利用した人の購買率は3%なのに、6種類のコーナーで試食した人の購買率は30%と、なんと10倍の購買率となりました。

 この実験結果は、「多くの選択肢は魅力的」な一方で、「選択するのは難しい」ことを示しています。人生には、進学・就職・結婚などの大きな選択以外にも、”今日何を食べよう”などの小さな選択を迫られる場面が、数多く出てきます。「良い人生とは、良い選択」です。良い選択をするためには、経験(成功や失敗)が必要です。若い皆さんは、失敗を恐れずに経験を積みましょう。私は手遅れですが・・・。


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