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世紀の凡戦? 猪木 vs アリ

プロレスラー・実業家・政治家と多くの肩書を持ったアントニオ猪木(猪木 寛至いのき かんじ)さんが、2022年10月1日の逝去されました。これで、プロレス黄金時代を築いた二大巨頭であったジャイアント馬場さんとアントニオ猪木さんが天国へ召されましたことになります。

アントニオ猪木さんは、プロレスの地位向上を目指して多くの努力を重ねてきました。その中でもボクシング世界チャンピオンのモハメッド・アリとの『異種格闘技戦』は今でも語り草になっています。

その時の興奮は今でも覚えています。私は高校生で、その日は土曜日だったので、いつものように高校に通っていました。しかし、朝からみんなソワソワしていて、休み時間の話題は『異種格闘技戦』で持ちきりでした。そのころ、すでにプロレス人気は下火になっていましたが、ヘビー級の世界チャンピオンであるモハメッド・アリの人気は別格でした。私も、彼がモハメッド・アリと改名する前のカシアス・クレイの時から知っていました。それまでのヘビー級ボクサーにない”蝶のように舞い、蜂のように刺す”華麗なプレイスタイルは、アリの真骨頂でした。

土曜の午前中の授業が終わると、自宅でテレビ観戦するために、いつもは部活で残るグループの大急ぎで家路に向かいました。日本では、昼間の生中継と同日のゴールデンタイム19時からのNETテレビでの録画中継という形で、一日に2度も放送されました。私はもちろん、生中継を見ました。

異種格闘技戦なので、ルールの調整が難しかったようです。諸説ありますが、頭突き、ヒジ打ち、膝蹴り、頸椎や喉への打撃、スタンドでの蹴り、が禁止だったそうです。ただし膝をついたり、しゃがんでいる状態の時の足払いは許されました。このルール設定が後々の問題になりました。

猪木は、アリの”強烈なパンチを恐れて”寝転がった姿勢を取りました。ルールの設定上、仕方がない戦い方だったのでしょうが、これに観客たちがキレました。観客の中には物を投げたり、罵声を浴びせたりした人たちもいました。アリも、猪木の寝転がりに退屈している観客を盛り上げようとしましたが、結局、大きな山場もなく3分15ラウンドが終わりました。

Wikiには『猪木の蹴りは12ラウンドを除きほとんどのラウンドでは空振りが目立った。』と書いていましたが、そんなことは無かったと思います。私の記憶では、アリの太ももが紫色に変色していました。多くのキックが空振りでしたが、確実にヒットしていたキックもあったのです。たぶんアリはやせ我慢していただけで、相当痛かったと思います。

試合については、その後も色々と語られることになりますが、世紀の一戦はこうして幕を閉じました。今頃、天国でアリさんと猪木さんが、あの時の思い出話をしているかもしれません。ご冥福をお祈りいたします。

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