紋切型とは、「決まりきった形式」のことを意味します。例えば、”紋切型の挨拶”や”紋切型の発想”というように、形式通りで新鮮味・誠実さが感じられないというネガティブな意味で使われます。この言葉は、外来語由来の「ステレオタイプ」と同義の単語です。
この”紋切型”については知っていましたが、その由来となる『紋切』という伝統工芸があることを知りませんでした。日本の伝統的な切紙模様である紋切は、紋形の対称性を応用して、正方形の紙を一定の方式で折りたたんで紋章の部分を切りぬく手法で紙を加工します。その紙をひろげると、美しい紋章が得られるという”紙切りの手法”です。この紋切の基本となる”決まり切った型”が、紋切型のルーツです。
”紋切遊び”は江戸時代に流行した遊びで、はじめは紋を描く職人の型紙制作の技術として発展したものが、町人たちの間にも広まりました。紋切の教則本も売りだされて、寺子屋で教えられたりしたらしい。また、遊郭の遊女たちの間でも嗜まれたらしい。
同じ紙を使う『折り紙』は、その芸術性や数学的な側面などから世界的に注目されていますが、紙を折り畳んで鋏をいれ、紙を開くと美しいカタチが現れる『紋切』は、もう一つの”伝統的な紙文化”として世界に誇れるものかもしれません。