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近未来小説 東京都知事選20XX

西暦20XX年、東京都知事選は未曽有の局面を迎えていた。前年に週刊誌にスクープされ、政治資金規正法違反で都知事が辞任したため、その年の1月に急遽都知事選が行なわれることになった。

2024年の東京都知事選をキッカケにして、東京都知事選の候補者数は増加の一途を辿っていた。2024年の選挙では56人が立候補したが、その次の都知事選では100名を超える候補者が立候補した。

20XX年の立候補者は1005名となり、遂に立候補者数が4桁の大台に突入した。東京都知事選は、さながら”お祭り”の様相を呈していた。もちろん、都知事選には誰でも出れるわけではない。東京都知事選に立候補するためには、次に示す2つの要件を満たす必要がある。

一つ目の条件は、立候補する権利である被選挙権を持っている必要がある。都道府県知事選の場合は、前年に改正された公職選挙法で”日本国民または日本在住歴が20年以上”で”年齢満30年以上”と決められている。この条件を満たしていれば立候補は可能だが、供託金というもう一つの条件を満たす必要がある。立候補者は、選挙管理委員会に供託金というお金を納付しなければならない。20XX年の供託金は500万円だが、V字回復の経済成長を遂げた現在の日本では、供託金は特に高額ではなくなっていた。

そのため、就活や婚活を目的としたアラサー男女の立候補が後を絶たなくなった。東京都の選挙管理委員会は、選挙のたびに増加する立候補者数の増加に頭を悩ませていた。選挙管理委員会の選挙ポスターの責任者が、上司に向かって語気を強めて不満を募らせた。「1000枚のポスターを張れる場所なんて、都内にはほとんどありませんよ」。

20XX年現在、政府・自治体のデジタル化は推進され、選挙ポスターも選挙管理委員会のWEBサイトで見ることができるが、都内の公的施設の前には前時代的な紙のポスターが掲示されていた。20XX年の都知事選では、外国人の参政権も認められたため、25名の外国人が立候補していて、都知事選挙の混乱に拍車をかけていた。

西暦21YY年、東京都は住民基本台帳の登録者から、被選挙権をもつ男女からランダムに選んだ1名を都知事にするという大きな決断を下した。

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