自分の価値観を押し付ける人々
価値観とは、何に価値があると認めるかに関する考え方のことです。何かの価値、例えば善/悪や好き/嫌いを判断するときには、自分なりの評価・判断基準が必要になります。味の好みが万人で異なるように、価値観は各個人で異なるのが当たり前です。
しかし、中には自分たちの価値観を他人にまで押し付けようとする人たちがいます。最近、2つの動画を観て気になったことがありました。一つは環境保護団体のデモの動画でした。
このデモでは、環境保護団体の人達が二酸化炭素を増加させる化石燃料の即時使用中止を訴えていました。しかし、一人の中年男性が現れて彼らを冷静に諭します。「あなた達が着ている服は石油で作られているし、ここまで来るために使った交通手段にも石油が使われています。石油を使うのがそんなに嫌なら、いますぐ服を脱いで徒歩で森に変えるべきだ」
誤解の無いように書きますが、ここでは環境問題の是非を議論しているのではありません。自分たちの価値観の押し付けについての違和感を論じています。
もう一つの動画は、ヴィーガンのお婆さんがチキンを食べている若者に肉食を止めるように猛抗議している動画です。お婆さんはファストフードの駐車場の車中でチキンを食べている若者に、「チキンを食べるなんて、ニワトリが可哀そうじゃないの」みたいなことを言って若者の肉食を阻止しようとします。しかし、若者はそれを無視してムシャムシャ食べ続けます。
世の中には肉が嫌いであったり、野菜が嫌いであったり、様々な食の嗜好があります。もちろん、動物愛護の観点から肉食をしない人たちもいるでしょう。私は、それぞれ個人の価値観を尊重しますから、それについてとやかく言うつもりは全くありません。プライベートな価値観は、法・倫理・道徳に反しない限り尊重されるべきだというスタンスです。
私には、他人に自分の価値観を押し付ける人達の気持ちが理解できません。もっとはっきり言うなら、「自分の価値観を押し付けるな!」です。価値観の押し付けは、アルコールハラスメントやマタニティハラスメントなどのような、ある種のハラスメントではないかと思っています。
現代は”多様性の時代”です。相手の立場を尊重して、なるべく他人の価値観に口を出さないことが”価値観の多様性”を認める第一歩だと思います。