お薦めマイナー本#2 解読 古代文字
前回は少し”お色気”に走ったので、今回は純粋に真面目な”古代文字”の話です。古代文字は、昔は使われていたのに、何らかの理由で使われなくなった文字のことです。世界史を習っていれば、楔形文字やヒエログリフは知っていると思います。
楔形文字は、メソポタミア文明で使用されていた古代文字です。ちなみに、メソは”中間の”を表し、ポタミアは”河(川)”を表します。この文明は、チグリス川とユーフラテス川の間の地域で栄えた古代文明なので、メソポタミア文明と呼ばれています。楔形文字の筆記には、水で練った粘土板に、葦を削ったペンが使われました。最古の出土品は紀元前3400年にまで遡ることができます。文字としては人類史上最も古いものの一つであり、古さでは古代エジプトのヒエログリフに匹敵します。
ヒエログリフは、紀元前3200年前後から古代エジプトで使われていた使われたエジプト文字です。ご存知のように、ヒエログリフはエジプトの遺跡に多く記されています。紀元4世紀頃までは読み手がいたと考えられていますが、その後は読み方が忘れ去られてしまいます。ヒエログリフが再び読めるようになったのは、19世紀になってフランスのシャンポリオンがロゼッタ・ストーンを解読してからです。
遺跡の発見時にみつかる謎の古代文字。これらの古代文字の解読への道は困難ですが、これほど古代へのロマンを掻き立てられるものはありません。そんな”古代文字の解読ストーリー”を数多く紹介されているのが、今回紹介する『解読 古代文字』です。この本には、先程のヒエログリフの解読に13年を費やしたシャンポリオンの話や、粘土書板からノアの方船の話に似た洪水の物語を含む”ギルガメシュ叙事詩”を見出したジョージ・スミスの話、シベリアで見つかった古代トルコの文字、ケルトのオガム文字等など、失われた古代文字の解読に挑戦する研究者の奮闘努力を垣間見ることができます。
蛇足ですが、いつものように検索して調べていたら、古代文字ではありませんが、沖縄県の与那国島等で使われていたカイダ文字という象形文字があることを知りました。起源については諸説があるらしいのですが、17世紀後半にできたらしい。この、作物・家畜・家禽・魚介類などをかたどった象形文字は、主に商品の売買記録や徴税記録に用いられたもので、一般の文章の表記用ではないそうです。
古代文字の解読は、暗号解読と通じるところがあります。蘊蓄好きなら、本書を読むべし!
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