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私のウイスキー遍歴

 最近、日本のウイスキーを飲む機会はめっきり減りましたが、お酒を覚えたての頃はよく飲んでいました。大学に入学した時代は、お酒と言えば日本酒のことを指しました。新入生の歓迎コンパでも、乾杯だけはビールでしたが、基本は日本酒でした。今のように、チューハイはまだ存在していませんでした。

 ウイスキーは、友達の下宿に遊びに行った時などの、”家飲み”で少しだけ飲むくらいでした。貧乏学生なので、まずはサントリーのレッドやホワイトという銘柄のウイスキーからのスタートでした。同じくらいの価格帯でニッカのウイスキーもありましたが、サントリーの方がおしゃれな雰囲気があるので、何となくサントリーのウイスキーになりました。少しだけ飲めるようになってくると、次は居酒屋でのウイスキーデビューでした。当時は若者用の居酒屋ブームで、いろんな店がありました。

 サントリーのウイスキーには、価格によるヒエラルキーがありました。具体的には、レッドホワイトオールドリザーブローヤル です。この順番で価格が上がって行きます。

 当時、レッドは安酒というイメージだったので、貧乏学生なのに見栄を張って、レッドはあまり飲みませんでした。よく飲んでいたのは、ホワイトでした。学生時代はこのホワイトが中心で、お金に少し余裕がある時だけ、を飲みました。大体、ウイスキーは水割りで飲むし、まだ酒の味もよく分からない頃だったので、ホワイトと角の味の違いが区別できませんでした。

 オールドは、大人(サラリーマン)が飲むウイスキーのイメージでした。その黒いボトルの形状から、関西圏では”タヌキ”、関東圏では”ダルマ”と呼ばれています。このサントリーオールドを何と呼称するかで、出身地が二分できました。オールドを店で飲むようになったのは、20代の中頃でした。

 オールドのテレビCMは、オシャレでCMソングも秀逸です。このCMソングは昨年亡くなった小林亜星さんが作曲した『夜がくる』という曲です。このCMには、長塚京三さんの男性版と田中裕子さんの女性版があり、どちらも味のあるCMに仕上がっていました。先程の『夜がくる』の曲をバックに、短いドラマが繰り広げられます。最後には渋い声で、「恋は遠い日の花火ではない。OLD is NEW(オールド イズ ニュー)」というナレーションが入ります。『夜がくる』はBGMですが、小林亜星(歌手名:マーク・HAMA)さん本人が歌ったバージョンもあります。

 オールドを飲むのは、女性がお相手をしてくれるいわゆる”スナック”というお店です。この頃から日本はバブル景気に突入するので、お酒の銘柄もさらにリッチなリザーブへと変わって行きました。また、国産ウイスキーではなく”洋酒”といわれるスコッチやバーボンなども、この頃から飲むようになりました。

 ローヤルは”お店”で飲んだのが数回程度で、頂き物を家で飲んだことがある程度です。さらにこの上にも、山崎などの高級ウイスキーがありますが、この辺りのお酒は飲んだ記憶がありません。

 現在は、”第三のビール”やメルシャンの”おいしい無添加ワイン”をたしなむ程度ですが、時々思い出したようにウイスキーを飲むこともあります。ガンガンとウイスキーが飲めていた時代が懐かしいです。

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