アメリカ生活#21 環境にやさしい!? ドギーバッグ
発展途上国では食べ物が足りない一方で、日本を含む先進国では食べ残しが多く、廃棄されていく食材の多さが世界規模で問題となっています。環境問題とも関連して、近年このフードロス(food loss)の問題に焦点が当てられることも多くなりました。今でこそ、日本でもドギーバッグ(doggy bag)を見ることはありますが、私が初めてドギーバックの存在を知ったのは、二十数年前のアメリカでした。
ドギーバッグとは、アメリカなどの外食産業で用いられる、客が食べ残した料理を客が持ち帰るための容器のことです。英語のdoggy bagは直訳すると”ワンちゃんのための容器”であり、客は”犬に食べさせる”という建前で店から食べ残した料理を持ち帰ります。もちろん、本当にワンちゃんに食べさせる場合もあるでしょうが、多くの場合、人間が食べることになります。なお、人間用の料理は犬にとっては塩分過剰なので、食べさせるときには細心の注意が必要です。
アメリカに住んでいた時に、仲良くなった4家族一緒に食事に行くことになりました。他の記事でも書きましたが、アメリカでは中華やイタリアン以外の店はハズレが多いので、そのときも中華レストランになりました。人数が多いので、色んな種類の料理を頼んでシェアすることになりました。
アメリカでの中華の定番は、ワンタンスープでした。日本でもメニューを探せば載っているのでしょうが、なぜだかアメリカではワンタンスープが代表的な中華スープでした。理由はよくわかりません。それから、アメリカの中華にあって、日本の中華でほとんど見たことない”レモンチキン”という料理がありました。名前から想像できるように、揚げたチキンにレモンを使った甘酢を絡めたものでした。
人数が多かったので、注文しすぎて結構な量が残りました。お店の人に清算をお願いした後、何も言わなくても図のようなドギーバッグを持ってきました。私は初めてだったので、何を持ってきたのかわからなかったのですが、既に経験済みの一人が「これはドギーバッグといって、お持ち帰り用の容器なんですよ」と教えてくれました。私が経験したドギーバッグは、図のようなシンプルなものか、同じ形ですがお店の名前や電話番号が書いてあるものでした。
日本では、生産者に敬意を表す”もったいない精神”があると言われていますが、その当時の日本はバブル経済の余韻で、”もったいない精神”の欠片もありませんでした。アメリカでのドギーバッグは、日本人に”もったいない精神”を再認識させるきっかけになったのかもしれません。
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