空想考古学・邪馬台国はココだ!#11 ”弥(彌)”という名前
前回に続いて、名前からの考察です。半島日本語では”弥(彌)”は、水の意味を表わすMiという音の漢字です。この名前が邪馬台帝国の最大の戸数を誇る投馬国と、本国である邪馬台国の役人名に頻繁に出てきます。これは偶然ではない気がします。
南至投馬國水行二十日 官日彌彌 副日彌彌那利 可五萬餘戸
「南、投馬国に至る。水行二十日なり。官は彌彌と曰ひ、副は彌彌那利と曰ふ。五万余戸ばかり。」
上が漢文で、下はその読み下し文です。投馬国は戸数およそ五万余戸の邪馬台国の中でも、最大規模の国です。国の順番から考えると、不弥国から南に水行二十日の距離なので、邪馬台国に最も近い国です。この国の役人名が長官・彌彌と副官・彌彌那利です。次は、邪馬台国に関する記述です。
南至邪馬壹國 女王之所都 水行十日陸行一月
官有伊支馬 次日彌馬升 次日彌馬獲支 次日奴佳鞮 可七万餘戸
「南、邪馬台国に至る。女王の都とする所なり。水行十日、陸行一月なり。官は伊支馬有り。次は彌馬升と曰ひ、次は彌馬獲支と曰ひ、次は奴佳鞮と曰ふ。七万余戸ばかり。」
同じく、上の二行が漢文で、下がその読み下し文になっています。投馬国の時と同じように、役人の官名に彌馬升と彌馬獲支の名前があります。
この漢字『彌』には、重要な意味がありそうです。やはり、彌は”水”と考えると、海洋国家である邪馬台国にふさわしい名前の気がします。投馬国のこれらの官人は、邪馬台国本国から派遣されている可能性があります。また、邪馬台国の官人名には、伊支馬、彌馬升、彌馬獲支のように『馬』が入っています。これも偶然ではない気がします。さらに言えば、投馬国にも馬の字が入っています。
馬(Ma)の字は、”動物の馬”を表わすのではなく、”アマ”や”ヤマ”のような何か別のものを表わしている可能性もあります。これまで、”半島日本語”の漢字の解釈による邪馬台国考は、殆どなかったと思います。ひょっとすると、邪馬台国論争のブレークスルーになるかも・・・?。