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Obsidian と Notion の話

ここ数年、日々の記録を Obsidian に書くようにしていたのだが、年初に思うところあって Notion を併用し始め、やや Notion 寄りの併用という形に落ち着きつつある。現時点での自分の使い方と考えを整理してみる。


これまでのメモツールの変遷

古の時代は Evernote を使っていたのだが途中で Notion に乗り換えた。ただ、個人的には Notion はエディタとしてベストに感じない部分があり、その後 Obsidian 一本で使うようになった。

今のところテキスト入力用のエディタとしては Obsidian に困っているところはない。とりあえず思いついたことをデイリーノートに書き散らかすようにしてから明らかに入力量も増えた。いいことだ。

ただ、 Obsidian の中にストックした情報が増えてくると情報の再利用性という観点で課題を感じるケースが出てきた。

  • 新規追加したページが孤立してどっかいっちゃって再利用性がなくなりがち。ページ間リンク、タグ付けというボトムアップ方向の整理が必要とされるが、管理コストがかかるため破綻しやすい。僕はものぐさなので結局全文検索頼りになってしまい、網羅性や全体感が掴みにくくなってしまう

  • トランザクショナルな記録ページ(たとえば「 x月x日の役所手続の記録」のような書いたらその後変更しないログ)と、ことあるごとに追記や修正を行うページ(たとえば「今月の計画・進捗」など)が混ざって破綻しがち

  • 構造化が一度破綻すると出先のスマホ操作で目的のページに辿り着きにくい。データ入力もキーボード環境でないと真価を発揮しづらく、スマホでのメモは別ツールで行っているのだが情報が散逸してしまう

ダラダラ書いたが総合すると「入力用のエディタとしては非常に満足なのだが自由度の高さの代償としてデータの構造化・整理に手間がかかって管理が破綻しやすい」ということになる。自由度が高いのはよいのだが、もう少しツール側からの強制力がないとものぐさな自分は破綻してしまう。


Notion のいいところ

それで課題を補完する目的で Notion をあらためて併用し始めた。 Notion は個人的にテキストエディタとしてはいまいち使いづらいのだが、情報を構造化しやすく再利用もしやすい。ということで、ある程度形の決まっている情報は Notion に入れていくことにした。

ここでいうテキストエディタとはキーボードで長文をタイピング入力する際に使うツールを指す。僕は文字入力をする時になるべくまっさらな画面で入力したいのだが、過去の経験で Notion はこまごまとボタンがあったり文字サイズが調整できなかったりして、ベストには感じない部分があった。ただ、長文のタイピング入力ではなくスマホでメモを取ったり参照したりする分にはまったく問題がなく、むしろ出先でページを作成して定型的な項目を入力するような使い方では UI が優れており使いやすい。なので、形が決まっている情報を扱う場合はこちらの方が楽だ。

本来はどちらかひとつに寄せた方がいいと思うのだが、日々のジャーナリングのようなある程度の長文を HHKB でタイピング入力する際のテキストエディタとしてはやはり Obsidian が捨てられないので、現状は併用という形に落ち着いた。


それぞれのいいところ

Obsidian と Notion のそれぞれの良いところは以下。互いの裏返しが課題に感じているところになる。

Obsidian

  • エディタとして使いやすい(まっさらなテキストエディタにできる)

  • データをローカルに保持する(サービスにロックインされる心配なし)

  • 動作が軽い(ローカルにデータがあるので)

いろいろ設定すると非常にすっきりする
フォントの種類やサイズ、テーマカラーも変更可能だ

Obsidian はデイリーページという1日単位での情報を書く箱の概念があるので、とりあえずなにか思いついたことを書きつけようと思った時に起動すればすぐに書く場所があり置き場所に一切悩まない。これがとても便利で、さぁ書こうという時にまずページタイトルをつけたり、ページをどのフォルダに格納するか考えたり……といった細かいストレスを完全に排除することができるため、入力開始の敷居がとても下がる。画面表示もシンプルで入力に集中でき、長文になってきても気持ちよく入力が続けられる。

しかし一方で、これは情報整理を先送りにしているという面もある。後でこれを一度整理する手間をとればいいのだが、入力量が多いので(そして整理しにくい散文を大量生産してしまうので)整理が追い付かない。また、入力開始の瞬発力を極限まで優先したことに対するトレードオフとして、書きかけの中途半端なテキストもそれなりにノイズとして残る。

Obsidian はプラグインが充実しているのでいろいろ改善の方法もあると思うのだが、カスタマイズに手間がかかるのと闇雲に設定追加していくとやはりどこかで管理しきれなくなってくるのではという不安がある。僕は使用環境に多様性があり iPhone, iPad, Windows の3環境を使うのだが、いずれも表示が異なりそれぞれ使いやすい設定を作りこんでいく必要がある。のだが、これが容易ではない。

Notion

  • データを構造化しやすい(データベース機能、プロパティ機能が強力)

  • UI がモバイルデバイスでの操作にも向いている(サイドバーのメニューからドリルダウンしていける、プロパティの入力補助が強力)

Notion はこの手の形式が決まっている情報の
入出力が非常に楽

Notion の一番好きなところはやはりデータベース機能で、この単位でページを管理していける。データベース内にページを作成した瞬間にコンテキストが生まれるので、入れる場所がすぐに決まる情報ならこれで整理が終わる。このデータベースという単位の境界が強固なので、全体でゼロかイチかの整理でなく、部分的な情報整理がしやすい。

また、コンテキスト内で意味のあるタグ(正確にはセレクトタイプのプロパティ)の名前空間がこのデータベースの単位で閉じるのでとても使いやすい(上記例の "実用書" というラベルはこのデータベースの中で閉じており、無闇に全ページ共通の広い名前空間を使用しない)

一方で、テキストエディタとして腰を据えて長文入力しようとすると
なんか表示がゴチャゴチャしてて疲れてしまう

ただ長文のテキストを入力しようとすると Notion の UI は気が散る。チームの共有用のボタンみたいな絶対使わないものもずっと出ているし、ホットキーやフォントサイズなどのカスタマイズ性も低いので、 ちゃんとしたキーボードでよしタイピングをしよう、という気持ちを受け止め切ってもらうにはやや心もとない。注視箇所であるカレント行にはなんか薄い文字のチュートリアルみたいなのがずっと出てるし……これ消せんのかな? どうだろ……


結局併用になった

そういうことを考えて、とりあえずそれぞれの良いところをつまんで併用するようになった。つまり、どういう形にまとまるか見えないテキストや長文の原稿は Obsidian に打ち込み、ある程度形式が見えている情報は Notion に入れていく。一元化できていないのは気持ちが悪いのだが、まぁ一つのサービスに依存しすぎていないという良い面に目を向けることにしよう。

Obsidian のエディタはとりあえず(まとまるかはどうか別として)文字を入力しよう、という瞬発力があってよい。年を重ねるごとに「自分が動き出しやすい」という要求を自助努力だけでなくシステムの側に強く求めるようになる。

テキストエディタとしてもう少し使いやすくなれば Notion に一元化できるかもしれない。ただ、過去に Notion にすべての情報を入れていたときは、再利用性の低い単なる思いつきのメモ(走り書きのデイリーページ、ジャーナリング)が大量に膨らんで検索のノイズになってしまった記憶がある。なので、散文的なテキストは今回 Obsidian に担当させることでノイズを分離した。これで Notion にすべての役割を期待する必要がなくなったので、前に使っていた時よりもよく馴染んでいる。

懸念としては Notion はデータをクラウド側にロックインされてしまうので、サービスが改悪したらまたデータ移行が必要になるという点だ。まぁ一旦この形でしばらく使ってみよう。そのうち Notion AI も使ってみたい。もう少し安ければ気軽に使ってみるんだが……

最近は実用書を Magic Keyboard にくっつけたまま iPad Pro で読むようにしていて、読みながら Split View に Notion を出して覚書をメモしていくのが気に入っている。おすすめ。

こんな感じで気になった時に端から引っ張り出してメモできる

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