【サッカー】ラ・リーガ第19節:ヘタフェVSウエスカ〈久保選手スタメン、岡崎選手途中出場〉観戦メモ
久しぶりにDAZNで深夜のヨーロッパサッカーを観た。
先日、ビジャレアルからヘタフェへの移籍が決まった久保建英選手の2試合目の出場試合だ。1試合目では、チーム練習に1度も参加していないのにも関わらず、いきなり65分からの途中出場となり、2ゴールに絡む活躍を見せ、ヘタフェは3-1でエルチェに勝利を収めた。
その日から9日後の日本時間2021/01/21 3:00キックオフのヘタフェVSウエスカ戦で、久保選手はスターティングメンバーに名を連ねた。メディアによる事前の予想で久保選手はスタメン予想されていたので、前節での好プレーも含め、この試合でどのようなプレーを見せるか、またヘタフェというクラブはどのようなスタイルのサッカーをするのか(しようとしているのか)気になったので、ミーハーな私は1ヶ月くらい暖めていたコンビニで購入したDAZNチケットを日付が変わるとともに切って、3:00に目覚ましをセットして、仮眠したあと観戦することにした。
試合を観て、思ったことを簡単にメモ程度にまとめたので残しておく。かなり雑なメモで、試合を1回しか観ていないので、抜け漏れ等たくさんあると思うが、素人の雑感として見ていただきたく思う。もっと詳細な解説とか戦術に絡めた高度な分析を読みたい人は、そういう人の記事を読んでほしい。私はサッカーが大好き(一時期は国内・国外問わず、試合映像のDVDを擦りきれるほど観ていたくらいには好き)だが、サッカーを観る目はそんなにないので笑。今回は箇条書きにした方がポイントがわかりやすいと思ったので、箇条書きにしてみる。
その前にまず、久保が移籍したヘタフェの監督であるボルダラス監督について。こちらの記事に詳しいことが書かれていたので、参照されたい。
ヘタフェ(ボルダラス監督)はもともと守備重視のインテンシティの高いサッカーを指向していたようだが、これはボルダラス監督の本当に目指すところとはやや異なるようだ。ボルダラス監督はかの有名なクライフ(バルセロナの元監督であり選手)の信奉者で、バルセロナイズムを体現したサッカーを目指しているように思われる。しかし、そのサッカーを実現させるだけのクオリティの選手を(特に前線に)抱えていなかったため、先述したような守備重視のインテンシティの高いカウンターサッカーを選択していたと思われる。以下、上の記事からの引用。
ボルダラス監督は、中盤の中央でプレーできる選手と、攻撃面でクオリティを持っている選手を求めていると常々言ってきたが、その1人が久保だったというわけだ。
猛然とプレーすることに長けていたヘタフェの選手たちだが、一転してゴール前でのアイデアや相手を崩すプレーはあまり得意としていない。そういった点では、久保のような存在は非常に大きく、攻撃面に新たなクオリティを与えてくれる存在として大きな期待が寄せられることになるだろう。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
クライフイズムを含ませたサッカーを実現させるために中盤の中央でプレーできる選手と攻撃面でクオリティを持っている選手を求めていたようだが、その1人がバルセロナ出身のカルレス・アレニャで、もう1つのピースとして久保建英に白羽の矢が立ったようだ。もともと、ヘタフェには、バルセロナのカンテラ(下部組織)出身のマルク・ククレジャがおり、ククレジャはアレニャと同期であり、ともにプレーした経験もあるようだ。実際にアレニャのヘタフェ加入に際して、ククレジャからの勧誘があったのはアレニャ加入に大きく作用したようだ(サッカージャーナリスト:小澤一郎さん談)。
久保はアレニャとククレジャとのプレー経験はないが、バルセロナのカンテラで仕込まれたバルセロナイズムは共通しているので、サッカー観やイメージの共有は容易いと(アレニャは)述べている。久保もバルセロナカンテラ出身の2人とプレーすることは連携面でプラスに働くだろうとの発言をしていた(以下記事より)。
以前の守備・インテンシティ重視のサッカーから、攻撃のアイデアや個のタレントを活かしたサッカーへといかに変貌を遂げているのか。その始まりとして、この試合は非常に興味深かった。まだ、アレニャも久保も加入して間もなく、練習もそれほどともにしていないので、理想的なサッカーをするには時間を要するかもしれないが、ヘタフェというチームがどう変貌していくかの一部始終のスタートとして、この試合を楽しみにしていた。
試合を観た感想に入る前に、この試合のスターティングメンバーを見ておこう。ここでは、戦術の分析などはしないが(できないが笑)、試合を観るうえで必須の情報なので。
画像元:Google検索「ラ・リーガ 日程」より第19節ヘタフェVSウエスカ戦のスタメンタブからスクリーンショットにて取得した画像をカットしたモノ。(これがいちばんわかりやすかった)
久保はヘタフェの右サイドハーフで先発。この図(上)では4-1-4-1と中盤4枚が横並びになっているが、実際は右サイドハーフの久保と左サイドハーフのククレジャが前に出て、右サイドから、久保・アレニャ・ククレジャが2列目に並ぶ4-2-3-1に近いシステムだと思われる。
以下、試合を観た感想・私見を簡単だが、箇条書きで述べておく(観戦メモ)。ヘタフェの選手のプレーと久保選手のプレーに着目して観ていたので、必然的にその記述が多くなるが、ご容赦いただきたい。
【観戦メモ】
〈ヘタフェの弱点〉
✔️ヘタフェは、事前のデータ通りデュエルの勝率が悪い。デュエル回数は最も多いが、勝率はワーストというデータがDAZNの放送の冒頭で述べられていた。
✔️特にハイボールでほぼ競り負けていた。
✔️バイタル(ゴール前中央のエリア)ががら空きになる状態がよく見られた。そこにクロスorシュートのこぼれ球等(セカンドボール)が入ると非常に危ない展開になり得た。
✔️2列目の選手がライン間でポジションを取っているときに、ディフェンスラインおよびボランチから縦パスが入らない。ディフェンスライン、ボランチの選手のパスの精度とスピードの問題は存在する。
✔️ディフェンスラインとボランチの強化がほしいところだが、ヘタフェの財政的には厳しいところ。
✔️攻守の切り替えがやや遅い。特にポジティブトランジション(守→攻への切り替え)が、相手のネガティブトランジション(攻→守への切り替え)より遅く、何度かチャンスを逃していた。
〈久保のプレーに関して〉
✔️久保は一回だけ、サイドの守備で数的優位にあるときに、相手の選手のトラップが大きくなった瞬間、一発でボールを取りに行って抜かれるという軽い守備が見られた。相手が比較的スピードに乗っていたため、リスクテイクしてボールを取りに行ったのだろうが、あそこは、ディレイして数的優位を活かして相手を囲いこんでボールを奪取するべきところだった。
(それ以外の守備の場面では身体を張ってボールを奪いに行く献身性も見せていたし、後半は特に相手の3バックにプレスをかけるシーンも見られたので、この試合における守備での貢献度は高かったと思う)
✔️久保の80分くらいでの交代は、2試合目の出場にしては悪い評価ではないのではないか?おそらく、1-0の局面で試合を絞めに行くために、守備面(ハイボールや身体的インテンシティ)を強化する意図があったと思われる。
✔️久保個人に関しては、ボールをもったときには、攻撃に変化をつけられていた。数的不利の場面で独力で相手数人をドリブルで抜き去り、局面を打開する場面も何度か見られた。特に右サイドから中央に入っていったときに良い攻撃の形が見られた。
✔️数的不利な場面では無理せず、簡単にワンタッチではたくなど冷静な対処をしていた。相手は久保がボールを前を向いてもつと、1対1ではなく、カバーの選手を入れて数的優位な状況を常に作り出そうとしていた。おそらく、研究されていたはず。
✔️あとは、中央付近のライン間でボールをもっと受けて前を向けるシーンが増えれば、より多くのチャンスが作れるだろう。
✔️ボールロストはこの試合に関しては少なかった。相手に引っ掛かっても、ファールをもらう、相手に当ててタッチライン外に出す等、マイボールにするようなクレバーさを見せていた。
✔️フリーキック(ヘタフェには左利きのアレニャがいるが、彼を差し置いてプレースキッカーを任されているのは短い期間でかなりの信頼を勝ち取っているように思う)は、相手の壁の低い部分(ちょうど久保側から見て左端の部分)を狙って、内巻きのカーブをかけてゴール右上隅をスピードボールで狙ったものだと思われるが、ややコースが甘かった(カーブのかかり方がやや甘かった)のと、GKにコースを読まれていたので、止められた。相手GKを褒めるべき。
✔️2本目のゴール右側からのフリーキックは、低めのスピードボールで味方が触ればゴールもあり得た面白い試みだった。
✔️クロスは基本的に低めのスピードボールが多く、小柄な選手の多いヘタフェに合わせたボールを上げているのだと思うが、局面によっては相手DFを外した選手の頭を狙うような山なりのボールを上げても良いのではないかと思う場面もあった。クロスの質のバリエーションも増やしたい。
〈ヘタフェのチームメイトのプレーに関して〉
✔️ククレジャは無尽蔵のスタミナでプレイエリアが非常に広い。ボールを取るのもキープするのもうまい選手。不利な局面では、無理せずボールをワンタッチで散らすこともできる。ライン間をよく狙っていた。非常に欠点が少ない選手。監督としては使いやすいだろう。
✔️アレニャのアシストが素晴らしかった。後ろから、ランニングで上がってくる選手をよく見た上でのタメを作ってのパス。得点者(アランバリ)のランニングも素晴らしく、最後のシュートも冷静にニアサイドを狙ってキーパーの股を抜いていた。
✔️アレニャ、ククレジャ、久保のコンビネーションはこれから練習を積み重ねて行く上で練度が上がっていくと思うので、ゴール正面中央のエリアに久保が入り込んだときの選択肢が増えるともっと多くのチャンスメイキングが可能になると思う。
(場合によっては、久保のトップ下での起用もアリ。トップ下は360°にスペースがあるので、その方が久保のアイデア・技術を活かしやすいかもしれない。アレニャとの兼ね合い次第だが、サイドで1vs1あるいは1vs2の局面を作られたときにドリブルで単騎突破が可能なのはヘタフェでは今のところ久保くらいしかいないように思われるので、今後も右サイドでの起用が濃厚か?あとは、今回は負傷のため、出場しなかった久保のマジョルカ時代の同僚であるクチョ・エルナンデスが絡んでくることによって、ボルダラス監督はどういう布陣を組むのか、非常に楽しみなところ)
〈ウエスカのサッカーに関して〉
✔️ウエスカは監督が変わって、ポゼッション中心から、縦に速いサッカーへと変貌していた。シュートの判断も早い。序盤はヘタフェのゴールを何度か脅かした。
✔️特に9番のラファ・ミール(センターフォワード)選手は大柄なわりにスピードもあり、ハイボールにはほぼ競り勝っていた。かなり良い選手だと思う。岡崎の強力なライバルとなりそうだ。
✔️岡崎の投入(78分~)はヘタフェが試合を絞めに入ってからだったので、なかなかチャンスは少なかった。難しいところもあるが、スタメンを勝ち取ってほしい。相手によっては、岡崎のDFの視界から消える動きや裏を取る動きが効果的な場面が出てくるだろう。ボールを受ける技術(ポストプレー等)はこの歳になっても進歩しているように見受けられるので、ピンポイントでここぞという時の起用は十分あり得る。そこで目に見える結果(ゴール)がほしいところだ。
〈試合全体の感想〉
✔️後半、ヘタフェは3バックのウエスカに対して2列目の3人のプレスで嵌め込み、簡単に前にボールを運ばせないようにした。その変更が功を奏して、後半は前半のオープンな展開とは打って変わり、堅い展開となり、ヘタフェのゲームとなった。
✔️下位チームどうしの争いで、比較的簡単なパスミスが目立った試合ではあったが、両チームとも見せ場や修正点が見られて、見応えのある試合だった。面白かった。
✔️1-0の薄氷を踏むような勝利をボルダラス監督がどう取るか?このシステムで行けそうと取るか。危なっかしいから戻そうと考えるか。おそらく、まだ数試合は様子を見るだろう(しかも、久しぶりの連勝を記録した)から、久保にもチャンスはあるはず。一応、今のところ勝っているからね。
以上が観戦メモ。ヘタフェのサッカーが今後どう変わっていくのか、久保選手が選手としてどのような成長を見せるのか、楽しみでならない。深夜帯で試合を観るのはなかなかキツいが、観れそうなモノはチェックしていきたい。(ダメそうなモノは、ダイジェストでも良いから観ておきたい)
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