【今日の読書】『女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち』 仁藤夢乃
何年か前まで「JKお散歩」という風俗がありました。
『女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち』は「JKお散歩」に身を置いている女子高生たちにインタビューをしたルポルタージュです。
著者は本書執筆当時20代前半で、彼女自身、高校時代に似たような業界に身を置いた経験がありました。そして将来転落していく危険性を十分知ってます。
著者が数名の現役女子高生にインタビューしていく中で見えてくるのは、書名にあるとおり、女子高生らが意識していない「関係性の貧困」です。
「関係性の貧困」とは家庭内や学校生活がうまくいっていないということだけではありません。 それよりも他人から自分の存在が承認されていないのではないかという無意識の恐怖感(これは実は錯覚なのですが)、それが「関係性の貧困」に結びついているように感じられました。
彼女たちは必ずしもお金を求めているのではなく、自身の存在承認を求めているのが切ないくらいに、本書からほのかに見えてきます。
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それにもして、強面な店長を「やさしい」と信頼させてしまう文字通り"ブラックな企業”の手練手管には感心するばかりです。
裏社会は、彼女ら自身が意識していない欲求を見抜いて巧みにがんじがらめにしていく。
暴力による恐怖ではなく、承認される場を失われる恐怖で縛っていく裏社会は、もしかしたら究極の従業員志向なのかもしれません。