仮名加工情報は、個人情報よりも規制が緩和されている分、利用上の制約がある
日本国政府は、かねてからデータの利活用により、新しいビジネスモデルを創出し、経済発展や国際競争力を高めたいと考えています。
そこで、前回改正した個人情報保護法では、ビッグデータの利活用を促進することを目的に「匿名加工情報制度」が導入されました。
しかし、「匿名加工情報制度」は厳格な要件が求められるため、導入のハードルが高かったことから、あまり広く活用されませんでした。
そこで、仮名化して本人と判らなくすることで、個人情報の保護を図るとともに、利活用するにあたっての規制を一部緩和することにより、ビッグデータの積極的な利活用を促進することを目的として、今改正で「仮名加工情報制度」が新設されました。
ということで、
本日は「仮名加工情報の定義」について整理してみました。
【 新しいガイドラインの(案)】
2-1-1 仮名加工情報の定義(法第 2 条第 9 項関係)
「仮名加工情報」とは
個人情報を、その区分に応じて次に掲げる措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工して得られる個人に関する情報をいう。
”その情報を見た限りでは”
誰の個人情報なのか判らない様に加工したもの
(補足)ちなみに「匿名加工情報」とは
個人情報を個人情報の区分に応じて定められた措置を講じて特定の個人を識別することができないように加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元して特定の個人を再識別することができないようにしたものをいう。
”どんなに頑張っても”
誰の個人情報なのか判らないように加工したもの
仮名加工情報の「定義」
法第 2 条(第 9 項)
この法律において「仮名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報をいう。
(1)第 1 項第 1 号に該当する個人情報
当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること
(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
(2)第 1 項第 2 号に該当する個人情報
当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること
(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
(1)法第 2 条第 1 項第 1 号に該当する個人情報の場合
「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(*1) により特定の個人を識別(*2) できるもの」は、
当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること
※1「記述等」とは、文書,図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され,又は音声,動作その他の方法を用いて表された一切の事項
※2 他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む
(2)法第 2 条第 1 項第 2 号に該当する個人情報の場合
「個人識別符号(*3) が含まれるもの」は、
当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること
※3「個人識別符号」とは、文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるもの
● 身体の一部をデジタル情報化した符号
● 個人がサービスを利用 or 商品を購入する際に割り当てられる符号
● 個人に発行される書類に付される符号
(旅券番号、基礎年金番号、免許証の番号、住民票コード、個人番号、公的保険、施行規則による指定)
この措置を講じた上で、まだなお法第 2 条第 1 項第 1 号(補足1)に該当する個人情報であった場合には、同号に該当する個人情報としての加工を行う必要がある。
「削除すること」には、
「当該一部の記述等」又は「当該個人識別符号」を「復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む」とされている。
「復元することのできる規則性を有しない方法」とは、
置き換えた記述等から、置き換える前の特定の個人を識別することとなる記述等又は個人識別符号の内容を復元することができない方法である。
法において「特定の個人を識別することができる」とは、
情報単体又は複数の情報を組み合わせて保存されているものから社会通念上そのように判断できるものをいい、
一般人の判断力又は理解力をもって生存する具体的な人物と情報の間に同一性を認めるに至ることができるかどうかによるものである。
「他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができない」という要件とは、
加工後の情報それ自体により特定の個人を識別することができないような状態にすることを求めるものであり、
当該加工後の情報とそれ以外の他の情報を組み合わせることによって特定の個人を識別することができる状態にあることを否定するものではない。
仮名加工情報を作成するときは、
法第 35 条の 2 第 1 項に規定する個人情報の保護に関する法律施行規則で定める基準に従って加工する必要があり、法第 2 条第 9 項に定める措置を含む必要な措置は当該規則で定めている。
※ 「仮名加工情報の作成」については、また別の機会に改めて…
引用文献
資料2-5 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(匿名加工情報編)の一部を改正する告示(案) (PDF : 563KB)
仮名加工情報の導入により、当該個人情報を取得する際に、本人に通知した目的とはまったく関連性が無い目的での利用も可能(※ただし、あらかじめの利用目的の「公表」は必要)な点がメリットです。
また、開示等請求(消去)の対象外となることから、ビッグデータに欠損が生じてしてしまう心配も軽減されます。
ただし、仮名加工情報の委託や共同利用は可能ですが、第三者提供することはできません。
また、メールや電話、SNS、リタゲ広告などを通じて、本人にコンタクトするために使用することもできません。
自社製品の研究・開発や、経営戦略・判断のためにデータ分析したり、AI学習などの用途でデータ活用している事業者には朗報な制度ともいえます。
しかし、「アフターデジタル」で言われている様な、消費者ひとりひとりのニーズに合わせた、体験価値を提供するようなサービスでの利用には不向きな制度といえます。
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