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脳の波に乗るタスク管理 - 計画と柔軟性の調和を目指して
序文
私たちの日々は、果てしないタスクの連続です。メールを返信し、会議に参加し、企画を練り、締め切りに追われる—。この絶え間ない活動の流れの中で、いかに効率的に、そして持続可能な形で仕事を進めていくかは、現代社会における普遍的な課題となっています。
本稿では、タスク管理の異なるアプローチを探求しながら、特に「脳の状態に合わせた柔軟なタスク管理」という新しい視点を提案します。
1. タスク管理の二つの極
タスク管理には、大きく分けて二つの極があります。一方の極には、緻密な計画に基づくアプローチがあります。これは、10年単位の長期ビジョンから15分単位の具体的なアクションまで、階層的に整理された体系的な管理方法です。もう一方の極には、より直感的で、その時々の状況に応じて柔軟に対応する思いつきベースのアプローチがあります。
2. 緻密な計画性によるアプローチの実践と限界
私自身、かつては前者の緻密な計画性に基づくアプローチを実践していました。具体的には:
10年単位のキャリアプラン策定
年度初めの年間目標設定
月初めの振り返りと月次目標設定
週単位での時間配分計算と具体的なタスク割り当て
15分単位での進捗管理
このアプローチには明確な利点がありました。何よりも、自分の時間の使い方が可視化され、目標達成に向けた進捗を常に確認できる点です。特に、多岐にわたるタスクをこなすスタートアップの経営者などにとって、日々の達成感を得られる重要な手段となっていました。
基本的に1日単位の計画が決まっているので、ポット出で発生したタスクについては、原則として次の日以降に実施する、という考え方になります。これは「仕事に追われない仕事術‐仕事は明日!でうまくいく」という書籍に書かれていたアプローチに近いものです。
しかし、このアプローチにも限界が見えてきました。タスク量が増大するにつれ、以下のような課題が顕在化したのです:
管理自体に要する時間的コストの増大
計画と現実のギャップによるストレス
溢れかえるタスクリストによる心理的負担
3. 脳の波に乗るタスク管理への進化
これらの経験を経て、私は現在、「脳の波に乗るタスク管理」とでも呼ぶべきアプローチを実践しています。これは、以下の3つの要素を組み合わせたものです:
大まかな目標設定
脳の状態に応じたタスク選択
1時間単位での記録
このアプローチの核心は、「その時の脳の状態に最もフィットしたタスク」を選択することにあります。例えば、会議直後の頭の整理された状態を活かして、その会議に関連するタスクに即座に着手する。あるいは、一つのタスクが完了した後に、意図的に「ぼーっとする」(これはマインドフルネスの考え方に通ずると考えています)ことで、次に取り組むべきタスクを直感的に選択する—。
しかし、これは単なる「思いつき仕事」とは一線を画します。重要な特徴として:
月次・週次の目標設定を維持
タスクの重要度と緊急度の区別
曜日単位での作業の性質の区分け
これにより、短期的な効率性と長期的な目標達成の両立を図っています。
4.効果的な実践のためのポイント
このアプローチを効果的に実践するために、以下の点に注意を払っています:
目標との整合性チェック 脳の状態がフィットしていても、設定した目標に合致しないタスクは後回しにします。
タスクの性質に応じた曜日配分 例えば、月曜日は連絡対応や小規模タスクの処理に、火曜日は重要な長期プロジェクトの推進に、というように曜日ごとにタスクの性質を緩やかに区分けします。
振り返りの習慣化 1時間単位での記録を取り、定期的な振り返りを行うことで、このアプローチの効果を検証し、継続的な改善を図ります。
結論:
タスク管理の方法は、個人の特性や仕事の性質によって最適解が異なります。しかし、「脳の波に乗るタスク管理」は、特に多様で大量のタスクを抱える現代のナレッジワーカーにとって、効果的なアプローチとなり得ます。
重要なのは、完璧な計画遂行を目指すのではなく、自身の認知状態を活かしながら、長期的な目標達成と日々の効率性のバランスを取ることです。そして、この取り組みは、個人の生産性向上にとどまらず、組織全体、さらには社会の生産性向上にも寄与する可能性を秘めています。
結びに、このアプローチは万能ではありません。しかし、タスク管理に悩む方々にとって、新たな視点を提供し、より効果的な仕事の進め方を見出すためのヒントとなれば幸いです。
余談
なお、この手のタスク管理などを行うツールは色々あると思うが、 私は結局、エクセルとメモ帳の組み合わせを用いています。 タスク管理は、ぱっとやりたいのに、web app系はどうしても少しはタイムラグがあるので、それがストレスなのと、 結局エクセルが一番柔軟性が高いと思ってしまうからです。