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地元作家の今が集う「新春佐倉美術展」
佐倉市立美術館で開催中の「新春佐倉美術展」へ行く。佐倉を拠点に活動しているアーチストたちの作品が一堂に会する展覧会。友人が出品していることもあってここ数回足を運んでいる。少し離れた大手門跡の駐車場に車を置いて、塚本美術館(日本刀専門)の白壁沿いに裏通りを少し歩くのがいい。
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会場に入るとすぐ脇に「パティシェ」という幅約40cmほどの木工の小品がお出迎え。市内の公園で集めた小枝だけで作られたという作品。入るやいきなり「どうだ」の大作を見せられるのではなく「ご挨拶」にはうってつけ。中をのぞき込む子どもたちがかわいい。
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「少女」というタイトルの水彩画。彼女はどこを見ているのか。焦点が定まらないようでもありすべてを見透かしているようでもあり、少女とはおじさんやおばさんなどは比べものにならない永遠の謎である。それがいつか必ず剥がれてしまうことの残酷さを彼女は知っているのだろうか。
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210×188という大作の「東京洛中洛外図」。いかにもアーチストの才気漲るといった感じだが、このテイストは基本的に大好きなので細部までじっくり見てしまう。案外と題材はお行儀がよく、毒性は低い。
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巨木や古木がいいと思えるようになったのはつい最近。同じ風景に出会ったらきっとこういう角度で写真を撮るような気がする。「神々しい」という言葉を思い出させる。
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こうした展覧会の定番は地元の風景画。佐倉というと豊かな田園風景や印旛沼、あるいは歴史的建造物といったところが多く描かれるが、タワーマンションが建ち並ぶ街区もまた佐倉。
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村上春樹いうところの「文化的雪かき」を、そのまた端の端っこで、小さなシャベルを持ちながらやってる素振りの禄を食んできたので、しみついてしまった「あざとさ」がなかなか抜けない。だから「秋日」のようなストレートな題材を前にするともうそこで「負けました」となってしまう。ゆるぎない確かなものがそこには描かれているのだ。
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1Fの喫茶スペース壁面に「オランダ児童デルフトブルー絵画展」というコーナーがあった。佐倉の小学校と交流しているオランダ・アンネフランク小学校の児童が描いたもので、デルフトブルーとはデルフト焼という陶器の特徴的な色らしい。デルフトという街にはあのフェルメールが暮らしていた。
佐倉には川村記念美術館というそれこそ「アート好き」でなくても名前くらいは知っているミュージアムがある。現代アートのビッグネームやレンブラントなど、もちろん見応えは十分だ。それに比べると佐倉市立美術館は規模も小さく世界的な巨匠の作品展などはもちろんおいそれと開催できない。それでもアートをより身近に感じたいなら、こちらが断然オススメ。今を感じさせるアーチストの展覧会をはじめ、興味をそそられる企画が折々にある。何より散歩がてらぶらっと立ち寄れるのがいい。