オンライン修学旅行って?

オンライン修学旅行なるものがあるらしい。ビデオ会議システムを使い、体育館に生徒を集め、京都とつないで行ったという記事があった。現地のバスガイドによる生中継あり、クイズなどの双方向のやりとりもあって生徒を「楽しませた」ようだ。

旅行業者が「修学旅行が中止となった生徒のために何ができるかを考えた」そうだが、この状況下で商売あがったりの中、どこかにおいしい種は落ちていないかと考えていたら思考停止した学校関係の大人が食いついたという図式で大枠いいのかな?

旅行業者の必死さは、わからなくもない。さて、問題は学校である。現場ではこの企画の採用にあたってどういうディスカッションが行われてきたのだろう。代替案としてこれがベターな選択だと本当に思ったのだろうか。何より生徒の意向はどのように汲まれているのだろう。双方向のゲーム性もあり、なかなかに楽しめる企画かも知れない。工夫を凝らした「社会科の授業」としては。そこに「修学旅行」と銘打ってしまうところが、さも子供たちの事を考えているふうな大人の小狡さだ。

いつだったかある高校生の「私たちの青春を返してほしい」という声がメディアで取り上げられていたが、ほんとうにその通りだと思う。大人の勝手な都合や短絡が、若者からはかり知れない多くのものを奪っているような気がしてならない。オンライン修学旅行は「オンラインだからこそ提供できるコンテンツもある」と今、注目を浴びているそうだ。面白いコンテンツはどんどん採用すればいい。ただ、繰り返すがそれは「修学旅行」である必要はない。

新しい生活様式という錦の御旗のもとに続々と生まれる「オンライン〇〇」「おうちで〇〇」というモノやコトの数々。それが当座必要であるのか、これからのマストアイテムなのか、ひょっとしたらいらないものではないか。手に入れる、あるいは実行することで得られるものは何なのか、失うものはないのか、よく考えて選択したい。ディストピアへの招待状になってからでは遅い。




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