【連載小説:ホワイトハニーの未来へ】「第2章 有効に使ってほしい」(1-1)
(1-1)
灰色の本を本棚に入れてから手に取る事は一度もなく、最初はあった違和感も年月の経過と共に綺麗に溶けんでいった。
大樹は大学を卒業して、ケーブルテレビ通信の会社に就職した。特に入りたい訳ではなかったが、就活時に周りが次々に決まっていく事に耐えられなくなり、たまたま内定をもらった会社に就職した。
就職を機に実家を出てワンルームマンションを借りた。学生時代は毎日会っていた友人とは、次第に会う頻度は減っていった。代わりに行きたくない飲み会や会社帰りにビールをコン