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#6 地球を救う新学校

今回のPickUpは、スタンフォード大学が気候変動に焦点を当てたカリキュラムを提供する新学校「Stanford Doerr School of Sustainability」を立ち上げたという記事です。

ベンチャーキャピタリストのジョン・ドーア夫妻による約1,300億円の寄付を含む2,000億円の資金を集めて設立する新学校は、同大学で70年ぶりの新学校であり、すでに熱量の高い教師・生徒の方々が研究に取り組んでいるようです。

地球を救うビジネスの難しさ

地球環境を守る活動、とりわけ気候変動に適応するための活動は世界中で盛んですが、そのほとんどが公的機関や研究機関が実施おり、民間企業の参入は限られている現状です。

それは一重に「稼ぎにくい」ことが要因であり、「稼ぎにくい」からこそ投資家がつかず、気候変動に適応するためのテクノロジーや活動に対して十分なお金が集まらない状況です。顧客が「地球」なのですから、ニーズ検証ができるはずもなく、「稼ぎにくい」のはある意味当たり前ではあります。

地球を救うファイナンス

このような現状の中、Stanford Doerr School of Sustainabilityでは「サステナブルファイナンス&インベストメント」というテーマのセミナー等を実施しており、気象変動に適応する活動におけるお金の集め方にも真剣に向き合うスタンスが垣間見えます。

「サステイナブル・ファイナンス」とは、直訳すれば「持続可能な社会を実現するための金融」であり、金融庁がその取り組みの全体像を纏めてくれています。

https://www.fsa.go.jp/singi/sustainable_finance/siryou/20220920/02.pdf

特に大きなポイントとしては、これまでビジネスや金融の世界と直接的な関わりが少なかった気候を扱う自然科学のプロフェッショナル人材へのニーズがとても高まるということです。スタンフォード大はこれまでビジネスや金融に関わる多くの人材を世の中に輩出してきましたが、これからは自然科学のプロフェッショナルとの融合を目指しているのではないでしょうか。

ビジネスや金融と、自然科学の橋渡し役となる人材が増えると、地球に優しい企業を適切に評価できるようになります。既にBcorpは地球に優しい活動や事業を実現する民間企業を評価する仕組みとして広がりつつありますが、これ以外にも、売上・利益だけでなく「地球に優しいか?」という観点で企業を評価する物差しが増えていくでしょう。

今後Stanford Doerr School of Sustainabilityにおけるサステナビリティファイナンスの講義が実施されるかは現在公開されていませんが、Googleの成長を支えたベンチャーキャピタリストの支援で設立された学校だけに、「稼ぎにくい」「お金が集めにくい」という常識を覆すようなアイデアが生まれてくること、そして、お金が余っている人(今は未知数)が、お金が足りない人(気候変動に適応する活動)とのマッチングが新学校から生まれてくることを期待したい思います。

以上


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