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#4 20万人の株主がいるクラフトビール
今日のPickUpは英国No.1クラフトビール「BREWDOG」の戦略のおまとめ記事。
BREW DOGは、2005年に設立後2年でスコットランド最大の独立系ブルワリーに成長した、型破りのマーケティングで有名な企業です。特に、クラウドファンディングで集めた120億円を成長エンジンにしているところが特徴的です。
非上場企業の資金調達のリアル
一般的に、株式上場している企業であれば世の中からの信用力が高く、証券会社を通して誰もが株式を買うことができます。上場企業は厳しい審査を通過し、財務的にも成長力的にも証券取引所からお墨付きを得ているからです。日本では約4,000社の企業がそのお墨付きをもらい、広くあまねく世界からお金を集めることができます。
一方で、日本には400万社の上場していない企業、つまり非上場企業が存在します。つまり企業の99.9%が非上場ということになります。一般論として、証券取引所のお墨付きがない非上場企業の株式への投資チャンスは限られています。また法律的にも非上場株式の勧誘は禁止されており、非上場企業が広くあまねく株式でお金を集めることは難しい状況です。
ネットで小口なら投資可能
そんな中、BREW DOGは「株式型クラウドファンディング」という新しい手法を2009年に採用し、BREW DOGを愛するファンや、BREW DOGの成長に期待する投資家から広くあまねく資金を調達し、大きな成長を遂げました。
株式型クラウドファンディングとは、非上場企業でもインターネットかつ小口であれば投資家に勧誘行為をして良いという仕組みです。ただし、自力です。証券会社の販売力に頼ることなく、基本的には自社のメンバーだけで株式を買ってもらわなくてはいけません。
BREW DOGはなぜ120億円も集めることができたのでしょうか?
それは、世界中のファンに株式の魅力を伝えることができるインターネットの発達が背景にあります。 BREW DOGのファンを魅了する株式設計は秀逸で、株式を「Equity for Punks(パンク株)」と名づけ、投資家(通称Punks)が嬉しいリターンを設計したのです。株主がパンク株を保有すると、専用のフォーラムを通じて経営上の意思決定に参与できるほか、オンラインショップや直営バーでの永久割引、限定醸造ビールの購入、バースデービールのサービス、醸造所無料ツアー、フェスティバル形式の年次株主総会への招待など、投資額によって様々な特典を受けることができるのです。
このように自社の株式の魅力を高め、インターネットで直接ファンや投資家に語り掛けることでBREW DOGは成功しました。証券会社を通さなくとも、直接世界中に自社の魅力を伝えることさえできれば、上場企業並みの資金調達ができることが証明されたのです。
日本でも「株式型クラウドファンディング」の活用は少しずつ広がりつつありますが、まだまだ規制上・慣習上のハードルが多くなります。しかしながら、お金が余っている人(ファン投資家)とお金が足りない人(ベンチャー企業)のマッチングを促す「新しい金融」の今後の動向には注目していきたいと思います。
以上
参考図書
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