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似合うものは変わっても、やっぱり好きなものは変わらない。
下戸の暮夜とは
夫なし、子は独立。
酒の飲めない40代が、ひとり過ごす昼夜を綴る生態エッセイです。
※お酒の話ではありません。
娘と2人暮らしだったころ、週末食材の買い出しに5000円程使い、平日の仕事帰りにもちょこちょこと買い足して1週間を乗り切っていた。
が、今
必要に迫られて買っていた娘のアレコレがなくなり、一人暮らしで酒は飲まず、制限のある食事ではお金をあまり使わない。
となると不思議なもので「お金を使いたい欲」がむくむくとわいてくるのだ。
しかし「母親」という生き物は、自分のモノにお金を使うことには不慣れなのである。
洋服1枚買うとき、誰が非難するわけでもないのに言い訳のように、チョコレートひとつでも娘のものを買う。そんな時間をしばらく過ごした。
ひとり親家庭で娘は私立高校。収入を増やす術もなく、ただただ節約。
自分の服や生活雑貨は「あればいい」
選ぶ基準は「安さ」一択。
ちょっと早めの「終活」を言い訳に、KMK(買わない持たないこだわらない)で暮らしてきた。
んが、んが、んが
唐突に物欲が戻ってきた!
きっかけは動画・・
この動画を見る前
「お金を使う欲」を満たすため、ショッピングサイトをひらくことが習慣になっていた。
それでも「好みより安さ」という基準からは抜け出せずにいた。
最終的には手に入れることよりも、サイトの徘徊(暇つぶし)が目的化していたように思う。
この動画は雑誌「Pen」の公式youtubeチャンネルで作られたオリジナルドラマ。俳優の光石研さんが、デッドストックのミリタリー服を悩みながら買う・・というお話。
これの何に惹かれたって
光石さんが登場時に着ている服(買う前の服かーい)。
紺のジャケット × カーキのパンツ
そして襟元から、裾から、ほんの少しだけ見える、絶妙なバランスの白。
もともと男の子っぽいお洋服が大好きだった。
あぁ、こういうの好きだなぁ・・としみじみ思った。
年齢がね とか 顔色がくすんだ とか 体系がなぁ とか
何を着ていいのか、すっかり迷子になってしまった40代。
好きだったものが似合わなくなっていく自分に落胆し
きっとこのまま・・という諦めの気持ちに、自らを寄せていく。
その方が楽だから。
けれど、この動画を見たら
好きな服を買って
その服を、その服を着ている自分を、外に連れ出したくなった。
そして今20000円の靴を買おうと、確かな目的をもってネットショップを徘徊している。
たった一本の動画の冒頭部分で刺激されたのは、かつてのおしゃれ心。
雑誌oliveで見るたびに
買うお金もないのにTストラップシューズかワンストラップか・・妄想だけで何日でも頭を悩ませた。
若い頃にはお金がなくて買えず、家族優先の20代30代。
これからの暮らしを気にして「買えない」のなら、わたしはいつ好きなものを手に入れるんだろう。
重い革靴を履いて街を歩けるうちに、買わなくちゃ。
ではまた次回。
素面の夜に。