ハロワのおじさまのハナシを聴くの巻
無職なわたし。とある勉強を始めるのにお国から給付金が出ることを知り、最寄りのハローワークへ。詳細はさておき、給付金を受けるためには、ハローワークにてキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングというものを受けなければならないという決まりがあるということで、事前に申し込んで行ってまいりましたよ。ちょっと嫌な予感はしたのだけど、やはりいかにも&いかにも、疑いようもない定年退職後のおじさま。事前に履歴書を分解したようなお国指定のフォームを作成していったわけですが、わたしの高校時代の特記事項が空欄なことに
「何かあるでしょう~。頑張ってきた部活や勉強や、学んだこととか」
「いや、ただの大学生になりたかった帰宅部の高校生だったもんで。というか、それ20年以上前の話ですけど、空欄なことに何か問題あります?」
「いやいや問題はないですけど、何かありますよねぇ」
というやりとりで10分経過。とにかく空欄埋めたいおじさま。
「話しながら思い出すかもしれないので、先に進めませんか?」とわたし。この場をリードしてしまおうと強く心に決めた。では・・・とわたしのこれまでの職歴へと話を進めることに。このおじさま、どうもすべてを声に出さないと理解が深まらない方のようで、わたしの職歴を・・・ボールペンでなぞりながら声を出して読み上げている。時々「ほー、なるほど」「新卒でアパレル」「次が人材サービス」「おぉ、海外に2年ね」「え?ケニア?すごいな」「次はオーストラリア!へぇ」「だから英語喋れるわけね」「で、日本に帰ってITですかぁ」などなど、質問ではなく全部ひとり言。書類に目を落としているから、おもしろいことに遭遇したとニヤニヤしているわたしには気づくはずもない。一通り、読み終わって(わたしの職歴は読み物と化していた 笑)ひとこと。
「あなた、すばらしい。自分で前向きにキャリアを積み上げてきましたね。いや、すごいですよ。羨ましい。わたしは今63歳なんですけどね・・・」
始まった。おじさまの自分語り。
「自分の年代はいい高校・いい大学、いい会社に入って、定年まで勤めて・・・という時代で、それだけを信じて中学校の時、とにかく勉強を頑張っていたら三者面談で『将来何したいんだ?』って聞かれて、驚きましたよ。将来何をしたいかなんて考える授業なんてなかったし、勉強しろっていうから、やっていたのに・・・。社会人になったらなったで、会社から指示された研修を受けて、昇格試験を受けてを繰り返して、あっと言う間に定年まで1年というところで、ずっと営業一筋だったのに、人事って言われちゃってびっくりですよ・・・」
わたし、傾聴。ひたすら寄り添って聴く。ちゃんと目を見て相槌うって。「ひとりひとり全員違うのがキャリアですよね」と声をかけたり、共感はしてないけど、「そういう時代でしたもんねぇ」なんて言ってみたりも。
「あ、なんか聞いてもらっちゃってすみません。キャリアコンサルタント失格ですね。あなたなら、大丈夫ですよ、キャリアコンサルタント。」
あ、おじさま・・・キャリアコンサルタントの自覚はあるよう。気が付いたらわたしの高校時代の特記事項が空欄な問題に10分、わたしの職歴を読み上げること10分、おじさまの自分語り20分、謎の締め5分の計45分のキャリアコンサルティングは終わった。なんだったんだろう。夢を見ているかのような不思議な45分。無職で時間持ちだから、許せる(笑)。
そう、わたしがお国の支援で勉強しようとしているのはキャリアコンサルタントである。お勉強によるとキャリアコンサルタントには倫理綱領というものがあって、その中に「キャリアコンサルタントは他のキャリアコンサルタントを誹謗・中傷してはならない」とある。誹謗中傷しているつもりはないけど、晴れて合格したら、このおじさまのハナシはあんまりできないかもしれないとnoteにしたためることにしましたよ。
おじさまへ。キャリアコンサルタント行動憲章には「実施したキャリアコンサルティングが相談者にとって適切であったかを常に評価・検証し、今後の活動に活かし、質を高める自己研鑽をする」とございますゆえ、そこんとこ、よろしくどうぞ。「相談者にとって」・・・面白かったからいいのかもしれない?!
わたしはキャリアコンサルタントに合格すべく、来週までのたくさんの課題に手を付けずにnoteを書いております。
しかしハロワはおもしろいおじさまの宝庫なのでしょうか?わたしが大好きなハロワのおっちゃん話をこちらでシェアさせていただきます。すぎなさん、何度も読んで笑ってます。ありがとうございます。
世の中はおもしろいことに溢れているなぁと、今日もおもしろアンテナ張って生きていきます。最後までお読みいただき、ありがとうございます。またこちらでお会いできたら嬉しいです。