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誰かを許すことは、自分を許すこと

オーストラリア人はいつも遅れる。

かれこれ17年前。30歳のわたしはオーストラリアのパースでツアーガイドの仕事をしていた。自分の采配で目の前にいるお客様が喜んだり、笑ったり、感動したりするというのは、とってもおもしろい仕事だったし、カツカツの生活で貧乏だったけど生きている感が満載な1年だった。

でも、いつも遅れてやってくる、オージーさん。日本からのお客様をお迎えする空港でのピックアップのバスも、翌日の市内観光や郊外への貸し切りバスも必ず遅れる。たまにではなく、必ず。100%の確率で。どういうこと???前日のうちに必ずバスの会社に電話して、待ち合わせの場所と時間、ドライバーの名前と電話番号を確認するのに。時間になっても来ないからやきもきしてドライバーに電話すると、陽気に「おはよう!ラブリーちゃん、今向かってるよ!」って。わたしは毎回イラつく。「今どこ?あと何分で着く?」

そして、遅れて到着しても Sorry なんて絶対言わない。

それどころか、怒るわたしに「Smile! You're beautiful」って笑ってる!!!なになになに?なんなの?バカにされてんの?ますますお怒りモードに。何度も繰り返すうちに、わたし気づきました。

これ、いちいち怒ってたら自分が損するなって。「I know you love to see my smile, right?」って笑ってごあいさつすることに決めた。

目には目を歯には歯を、スマイルにはスマイルを!だ。

まぁ、ちょっとくらい遅れたって、ハッキリ言って大ごとじゃないし。時間に正確な日本人のお客様の中には、たまーに「集合時間に来たのにバスが来ていない」とお怒りの方もいる。それもまぁ「オーストラリアなんで、お楽しみください」とかなんとか事前に言っておくと、バスドライバーの遅刻をお客様が一緒に楽しんでくれるという荒業も生み出した(笑)。30歳。だてに歳とってないわよ。図太くなったもんだわ、わたし。

でも、これって遅刻したドライバーを許してやったと、ずっと思っていたけれど、そうじゃなくて「こうあるべき」と思い続けていた自分を許したんだろうなぁと、今は思うわけです。

「こうあるべき」ではなく「こうありたい」をみんなが優先できる世の中っていいと思うんですよね。なんでもかんでもというわけにはいかないかもしれないけど、「べき」論で誰かを攻撃するなんて、なにより自分がおもしろくないですよ。かつてのわたしのようにプリプリ怒りばっかりで疲れちゃうし。

書きながら思い出しました。ケニア人はもっと遅れます。半日遅刻とか約束の1週間後にやってくるとかザラでした(笑)。それから西表島のレンタカー屋さんも予約の1時間後にやってきたけど、「返却時間はテキトーでいいので。何なら明日の朝でも」って言ってたなぁ(笑)。こんな感じでも生きていけるんですよ、ワハハ。

あ、遅刻の話ではなく、「自分を許すこと」の話でした。

見出し画像はみんなのフォトギャラリーから「自分を許して、手放して自由に生きていく」イメージのものを選ばせていただきました。すてきな作品をありがとうございます。

最後までお読みいただきありがとうございます。またこちらでお会いできたら嬉しいです。

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