タイムアウト
タイムアウト(time-out)とは,好きな活動や環境において,問題となる行動が生じた時に,その活動や環境から切り放す方法です。
この方法では,問題となる行動をした対象を叩いたり,叱ったりすることなく,問題となる行動を減らすことができます。
学校現場や家庭における体罰などを減らせる効果的な方法にもなると考えられます。学校現場でタイムアウトに関しては,学校長などの許可を得るなどして実施することが望ましいと思われます。タイムアウトの方法によっては,保護者や先生がよく思わないことも考えられるため,実施には十分配慮して行ってください。
では,具体的にタイムアウトについて説明していこうと思います。
タイムアウトには,2つの方法があります。
①非排除型タイムアウト(nonexclusion time-out)
②排除型タイムアウト(exclusion time-out)
①非排除型タイムアウト
授業中に,授業とは関係ない発言をして進行を妨害してしまう男の子がいました。先生は,この授業を妨害するといった行動は先生やお友達から注目を得るための行動ではないかと考えました。
そこで先生は,タイムアウトを試みることにしました。先生はクラス全体に,「授業とは関係のない発言をした時は,「3分間」と書かれたカードを机に置きます。このカードがある間は,話してはいけません。カードをもった人が話したら,先生もお友達も反応してはいけません。」と伝えました。
授業が始まりました。男の子が授業とは関係のない発言をすると,クラスのみんなが反応してしまい授業が止まってしまいましたので,先生は男の子の机にカードを置きました。すると男の子は授業を妨害することなく,3分間静かに座ることができていました。3分後にカードを回収しても,男の子は授業妨害をすることはなくなりました。排除型タイムアウト
この例は,計画的に反応しないようにする方法でした。先生がみんなからの注目を得ることができない環境を計画的に設定していました。ここでは,教室の同じ席から排除されずにタイムアウトをしています。この方法は,非排除型タイムアウト(nonexclusion time-out)といいます。
②排除型タイムアウト
一方,教室場面で特定の環境から外される方法を排除型タイムアウト(exclusion time-out)といいます。教室内では,タイムアウトルームといって衝立や隔離した場所を設けて,対象が好む活動や環境から切り放します。園や自宅では,小部屋に移動するといった方法が活用されます。
タイムアウトは,行動を素早く抑制することができますが,嫌なことが生じたり,罰を与えることになるといけませんので,気をつけて活用することが求められます。
タイムアウトの3つの大切な側面について
①タイムインとタイムアウトの環境の違いを理解する。
②タイムイン環境から切り放す。
③タイムアウトで確実に問題行動が減っているかを確認する。
①タイムインとタイムアウトの環境の違いを理解する。
タイムイン(time-in)とは,好きな活動や環境におくことです。つまり,タイムインはタイムアウトと反対の概念となります。
タイムインの環境とタイムアウトの環境の違いを理解することで,タイムアウトを効果的に使うことができるようになります。
②タイムイン環境から切り放す。
タイムアウトを効果的に行うためには,対象がタイムインの環境におかれているかを見極めて,実施する必要があります。
では,先ほどの例の男の子の授業妨害をする行動は男の子の何を満たしていたのでしょうか。そこを考えることで,教室内でのタイムイン条件が何かがわかってきます。
男の子は注目を得たいために授業を妨害するような発言をしていましたね。そこで注目を得ることができない環境を設定して,タイムイン環境から切り放していました。男の子が注目を得ることができない,つまりタイムインの環境から切り放されたということです。
このようにタイムアウトを実施することで,効果的に問題となる行動を減らすことが可能になるでしょう。
③タイムアウトで確実に問題行動が減っているかを確認する。
タイムアウトを実施した後も,問題となる行動が続くのであれば,それは効果的なタイムアウトとは言えないことがわかります。
タイムアウトが効果的かどうかを見るためには,問題となる行動を観察して,記録をとり続けることが大切です。効果が見られないまま必要以上にタイムアウトを継続すると,子どもにとってつらい経験になります。
その場合は,異なる方法でタイムアウトを実施するか,他の方法で問題となる行動を減らすことが望ましいと考えられます。
また,タイムアウトは,分化強化と組み合わせて行うことができますので,望ましい行動を増やして,望ましくない行動を減らすために,支援の方法を模索することが重要です。
次は,機能的アセスメント(Functional Behavior Assessment: FBA)について解説したいと思います。