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ティリー・ウォルデン『are you listening? アー・ユー・リスニング』
ティリー・ウォルデン『are you listening? アー・ユー・リスニング』を読む。
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伯母の家にクルマで向かうルーと家出をしてきたビーが、途中で拾ったネコを飼い主のところへ送り届ける女二人のロード・ムービーならぬロード・コミック。旅をする目的は後付けで、実は二人ともに過去からの逃避行。拾ったネコは不思議な力を持っていて、そんな二人の未来への道筋をつくってくれる。
女性ならではの悩み。近親者の死。繊細な扱いが必要な話題をじわじわとストーリーににじませていく。日本の漫画、フランスのバンド・デシネと異なり、アメリカのコミックらしい大雑把なところは否めない。カタルシスは望まないが、静かな希望と切なさがもう少し欲しかった。
女二人の逃避行、ロード・ムービーといえば、いわずもがなの傑作『テルマ&ルイーズ』。2人に卑猥な言葉をなげかけるトレーラー運転手に対する反論と仕打ちは、30年前に初めて観たときも痛快だった一方で、男というのは馬鹿な生き物だと情けなく感じた。
さらに思い出したのは、一人の男を殺した女と殺させた女の逃避行コミックである中村珍『羣青』。Netflixを観ないので映画化されたことも知らなかったが、実写以上に生々しい漫画。次へ次へと読み進めたい一方で、ページを繰る手を止めてむぅと考え込んでしまうほど痛みを感じる。
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女二人のバディ物、そしてシスターフッド。そういうラベリング抜きで胸に突き刺さる物語を読みたい。
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