書かずにはいられないもの——町田康『私の文学史』、早川義夫『女ともだち』
拝啓
いつになっても梅雨は好きになれません。ただ、雨が上がり、地面からむわっと湿り気が立ち昇ってくるような宵闇に、我が家の前に流れる小さな川に沿ってほんの少し歩きます。すると、両岸の雑木をぬって飛び交うホタルが見られるのです。風に流されたのか、たまに庭先で光の筋を見ることも。今夕はどうなるでしょうか。
あなたからのお手紙、両手で押し頂くごとく受けとめました。有り難し。そして何度もなんども読み返しました。
宮本輝『幻の光』、お読みくださったのですね。実は私も宮本輝の、あま