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みらっちとの往復書簡——読書を中心に

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創作・エッセイ・書評など多方面で活躍するみらっち(https://note.com/mirach)と交わす手紙の数々。
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記事一覧

「ことば」という大河にたゆたう——ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』、ガブリエル・…

拝啓 一日の気温差はいまだに激しいものの、快い風がそよぐ時節になりました。窓を開けると金…

既視の海
1年前
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あわいのまにまに――忘れてはならないこと

 拝啓  お彼岸を迎えるというのに、なんという暑さでしょう。  とはいえ、河岸の桜の木は…

みらっち
1年前
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いのちや意識の「あわい」にあるものは——河合隼雄『中空構造日本の深層』、フィリパ…

拝啓 暦のうえではすでに秋。台風が通り過ぎたあとを「野分のまたの日こそ、いみじうあはれに…

既視の海
1年前
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いかに生きるべきか――”考える”という智慧

 暑中お見舞い申し上げます。  梅雨明けを待たぬうちからの猛暑でしたが、やはり、梅雨を抜…

みらっち
1年前
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刻々と変化し続けるもの、それでも変らないもの——小林秀雄『無常という事』『歴史と…

拝啓 九州の災害の報に胸をいためつつ、関東の酷暑も災害のようです。ただ、天気予報の「体温…

既視の海
1年前
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記憶すること、思い出すこと。そして「私」と「魂」

 蒸し暑い日が続きます。  先日、朝から通勤通学の人に混じり目的地に向かい、その後帰宅し…

みらっち
1年前
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書かずにはいられないもの——町田康『私の文学史』、早川義夫『女ともだち』

拝啓 いつになっても梅雨は好きになれません。ただ、雨が上がり、地面からむわっと湿り気が立ち昇ってくるような宵闇に、我が家の前に流れる小さな川に沿ってほんの少し歩きます。すると、両岸の雑木をぬって飛び交うホタルが見られるのです。風に流されたのか、たまに庭先で光の筋を見ることも。今夕はどうなるでしょうか。 あなたからのお手紙、両手で押し頂くごとく受けとめました。有り難し。そして何度もなんども読み返しました。 宮本輝『幻の光』、お読みくださったのですね。実は私も宮本輝の、あま

不在に馴れまいとして思い出し、言葉によって存在させることで、無常に抗う

 拝啓  お手紙、ありがとうございます。  あなたからのお返事を心待ちにしている自分がい…

みらっち
1年前
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「思い出す」のは過去ではなく、現在——有吉佐和子『悪女について』、宮本輝『幻の光…

拝啓 ついに入梅かという湿っぽい気持ちを隠せない一方、静かな雨音をききながら読書するのを…

既視の海
1年前
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同じ書物を読む人あり、遠方より便り来る。また嬉しからずや。

 拝啓  先日は、お手紙をありがとうございます。  noteからのお知らせが、まるで自宅のポ…

みらっち
1年前
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同じ書物を読む人は遠くにいることを知る——岡崎京子「万事快調」、向田邦子「胡桃の…

拝啓 向暑のころとは思えない朝夕の気温差と、1日ごとの寒暖差です。それでも我が家の庭では…

既視の海
1年前
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