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書評

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ヨミタイモノ、ココニアリマス。
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#現代詩

阿部日奈子詩集『キンディッシュ』

詩集の幕開けとなる「行商人」から、肌触りが違う。 外国文学を礎にした前作『海曜日の女たち…

既視の海
6か月前
16

阿部日奈子詩集『海曜日の女たち』

しびれる。詩集名だけで読みたくなる。著者名も詩歴もまったく分からないが、気にしない。 そ…

既視の海
6か月前
23

高木敏次詩集『傍らの男』を読む 。静かな筆致で、他者を観察するかのように「私」を日常に溶かしていく。

夏の日を思い出そうとしたが
忘れたことを思い出した
(「目の前」)

非論理的な言葉のつらなりは、幻想的というよりも、揺らぐ現実性を帯びてむしろ自然。コルタサルを思い出した。

既視の海
6か月前
7

四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』

書けない苦しみ。溢れ出る驚き。 のちに偽詩人と呼ばれた吉本昭洋は、いずれも味わった。詩人…

既視の海
1年前
19

『松本竣介 線と言葉』を読む。尾形亀之助詩集『美しい街』の挿画で知る。『運河風景』『並木道』に圧倒される。自分の眼で観たい。「戦争を描いても裸婦を描いても林檎を描いても画家の目が、厳然として永遠なものにつながってゐるか否かゞ大切だ」という言葉は文章や詩でも通じる。次は評伝を読む。

既視の海
1年前
11

『詩人 吉原幸子:愛について』を読む。女性詩論やアンソロジーでは読んだことがあるが、吉原幸子の全体像がわかり心が震える。掲載詩では『これから』『日没』『街角』がいい。エッセイ『花を食べる』にも胸を射貫かれる。詩集も積読があるのに『全詩』が読みたい。とくにⅢの朗読CDを聴きたい。

既視の海
1年前
15

吉田美和子『単独者のあくび 尾形亀之助』

吉田美和子『単独者のあくび 尾形亀之助』を読む。 尾形亀之助が42年という短い生涯で刊行した3冊の詩集はすべて読んだ。詩に魅力を感じたならば、やはり詩人そのものにも関心が向く。 緻密な取材に裏付けされ定評ある評伝や、2歳違いである小林秀雄の詩情と比較する評論もある。でも、詩人みずから手がけた批評であり、放埒な尾形亀之助が寝転がり天井を見上げながらぼーっとする絵が思い浮かぶタイトルに惹かれた。 評論と批評は違う。評論は、「私」を含めず対象を分析し論を立てて語っていくのに対

尾形亀之助の第一詩集『色ガラスの街』、第二詩集『雨になる朝』を「あるきみ屋」により復刊された文庫版で読む。きのう書き写した「雨日」「夜がさみしい」はいずれも「どつちかといふと厭はしい思ひ」で出版した第二詩集に収録。できれば全詩を読み込んで、彼のさみしさの雫を感じたい。

既視の海
1年前
8

尾形亀之助詩集『カステーラのような明るい夜』

尾形亀之助の詩集『カステーラのような明るい夜』を読む。 先日の『美しい街』と重なる詩も多…

既視の海
1年前
16

尾形亀之助『美しい街』を読む。尾形亀之助は初めてではないにせよ、詩集としてまとめて読むと、後頭部をガツンとなぐられた気分。こんなに短く身近な言葉だけで、心情も情景も余韻も表わせるなんて。いたずらに長く難解な現代詩とはまったく別。松本竣介の絵もいい。まだ胸のどきどきがおさまらない。

既視の海
1年前
14

現代詩を、聴く。

小池昌代/林浩平/吉田文憲(編著)『やさしい現代詩(自作朗読CD付き)』を聴く。 そう、聴い…

既視の海
1年前
59

福永祥子『立方体の空』

福永祥子詩集『立方体の空』を読む。 瑞々しい言葉と懐かしさを覚える言葉が混ざり合い、不思…

既視の海
1年前
5

松下育男『これから詩を読み、書くひとのための詩の教室』で紹介されていた川又千秋『幻詩狩り』を読む。シュルレアリスム創始者アンドレ・ブルトンに持ち込まれた3つの詩が、読み手の思考を支配し、読み手自身を映し、読み手の過去を遡らせる。心を揺さぶる詩とはどのようなものか、ずっと考えてる。

既視の海
1年前
7

学ぶために読んだ2冊目の詩誌『凪』第二号。見開き2ページにおさまる詩も多くほっとする。なぜこの言葉を用いたのか、別な表現はなかったかと考えながら読む。最も響いたのは、水木なぎ『空気』。野宮ゆりさんと雪柳あうこさんは先日の詩誌『La Vague』と重なるが、実はこちらのほうが好き。