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ひとりの本好きが、本好きの友だちと交わす往復書簡。

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読んだ本について手紙を書く。本好きから本好きへと書く手紙。往復書簡。手書きの必要はありません。ここから始まった往復書簡がいくつもあります。あなたの手紙、待っています。
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#小説

衝動に身をまかせる——セルバ・アルマダ『吹きさらう風』、車谷長吉『贋世捨人』

拝啓 やはらかに柳あをめる岸辺を歩きたい。そんな季節になりました。水面に映る青をみて、あ…

既視の海
7か月前
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待つ方がいいのか、待たせる方がいいのか——太宰 治『待つ』『走れメロス』

拝啓 色づきはじめたもみじに小糠雨がそぼふるなか、あなたへの手紙をしたため始めました。 …

既視の海
1年前
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自分を信じるのは、実際的で手触りのある行為——フランソワーズ・サガン『悲しみよ …

拝啓 青い空を突き上げる入道雲はすっかり遠のき、鮮やかな彼岸花が風に揺れています。 あな…

既視の海
1年前
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同じ書物を読む人は遠くにいることを知る——岡崎京子「万事快調」、向田邦子「胡桃の…

拝啓 向暑のころとは思えない朝夕の気温差と、1日ごとの寒暖差です。それでも我が家の庭では…

既視の海
1年前
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現在と過去のあわにいざなわれる——倉橋由美子『暗い旅』【書評】

拝啓 昼間であれば、窓を開けていてもゆったり読書できる季節になりました。それで積読タワー…

既視の海
1年前
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あえて苦しみを引き受ける愛——辻 邦生『光の大地』

拝啓 満開だった桜が少しずつ散り始めました。ふんわりと舞う花びらは、春の光とともに祝福し…

既視の海
1年前
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エスプリのきいた愛の物語——ダヴィド・フェンキノス『ナタリー』【書評】

拝啓 足早に2月が逃げ去っていきます。忙しいとは心を亡くすことだとは、よく言ったものです。そんな忙しさを忘れさせてくれる小説をと、積読本ではなく、なんと2016年3月に「気になる本」リストに登録したまま最下部で熟成してしまったフランスの小説を読んでみました。これが本当によかった。もっと早く読めばよかった。ダヴィド・フェンキノス『ナタリー』です。 フランスものらしく、「1」から「117」まで番号がふられた断章形式の小説です。「1」で主人公の女性であるナタリーが紹介され、「2

つづれ織りのような人生と文章——パスカル・キニャール『約束のない絆』【書評】

拝啓 東京も明日は雪が降るというのに、今日は穏やかな青空がひろがっています。暖かさにくる…

既視の海
1年前
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「お」の抽斗をつくりたい

拝啓 この冬で一番の寒気が近づいているなかで、あなたの言葉一つひとつが胸をじんわりと暖め…

既視の海
1年前
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骨董はいじるもの、欲望は愛でるもの——アントワーヌ・ロラン『青いパステル画の男』…

拝啓 冬至からひと月近くたちますが、日は低いままですね。ただわが家では、その低い日差しが…

既視の海
1年前
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【第10信】「あわい」を見つめ考え続ける——吉田篤弘『雲と鉛筆』【書評】

拝啓 午後になり、西日が机のうえに差し込んできました。夏にはうっとうしい西日も、冬ならば…

既視の海
1年前
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【8通目】あなたと一緒にフラヌールしたい——高原英里『詩歌探偵フラヌール』【書評…

拝啓 突然ですが、あなたは朝一番で耳にした言葉や、偶然に聴いてしまった曲の一部が終日、頭…

既視の海
1年前
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【7通目】生と死のあわいにある声——ジャン=ポール・ディディエローラン『6時27分発…

拝啓 一年で最も昼が短い日、冬至を迎えました。夏が好きなので、子どもの頃は最も嫌いな日で…

既視の海
1年前
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【6通目】破滅にむかって時が静かにすぎる切なさ——ジョルジュ・シムノン『離愁』【書評】

拝啓 冬至が近づき、日がほんとうに短くなりました。寒さをまぎらわせるために、心温まる物語を求めたくなります。 ただ、人の心というのは、たとえ自分であったとしても分からないもので、むしろ切なさに惹きつけられることもあります。そんな人の心の機微をフランスの作家に描かせたならば、前回と同じになってしまうのが悔しいですが、やはりジョルジュ・シムノンを思い浮かべました。今回も「メグレもの」ではなく「本格小説」を、そして原作よりも映画のほうが話題になった『離愁』を手に取りました。もう